「オゾン層の破壊」とは?現状や要因を徹底解説

環境問題となるオゾン層

本記事では「オゾン層の破壊」について解説していきます。地球温暖化が進行する上で、地球環境では様々な環境問題が生じています。

そんな環境問題の一つに「オゾン層の破壊」がございますが、なかなか難しい言葉ということもあって馴染みは薄いですよね。この「オゾン層の破壊」という現象については、中学生や高校生が学ぶ科学でも扱う内容でもあります。本記事では、以下の目次のように、基礎的な部分から丁寧に進めていきたいと思います。

オゾンとは?

オゾンとは、酸素原子3つからなる化学物質です(O3と書き記される)常温常圧の状態では、薄い青色の気体であり、一般的には空気中で紫外線を受けることで発生します。

オゾン層が果たす役割

上空では、成層圏に存在するオゾンが「オゾン層」と呼ばれる層を形成しています。これによって私たちは人体に有害な紫外線から、身を守ることができています。

なお、紫外線は太陽から放出される電磁波です。一部は地上に降り注ぎ、日焼けやしみの原因となり、場合によっては元につながってしまうこともあります。

紫外線の強さは、時刻や季節、さらに天候、オゾン量によって大きく変わります。同じ気象条件の場合、太陽が頭上にくるほど強い紫外線が届きます。一日のうちでは正午ごろ、日本の季節では6月から8月に最も紫外線が強くなります。

紫外線環境保健マニュアル | 環境省

とにかく、私たち人間にとって、とても重要な環境ということですね。

「オゾン層破壊」のメカニズム

さて、ではどのようにして上空で形成された「オゾン層」は破壊されてしまうのでしょうか?鍵となる物質は「フロン」です。

  • フロン:冷却スプレーなどによく使用される化学物質の1つ。上空にて、紫外線を浴びると分解し塩素原子(Cl)を放出する。冷蔵庫やエアコンに使用される。

まず、このフロンという物質が、成層圏で強い紫外線を受け、塩素原子(Cl)を放出します。その塩素原子は、オゾンから酸素への化学変化を促します。

つまり、フロンによって大気中にある酸素原子3つからなるオゾンは、酸素原子2つからなる酸素へと変化していくのです。結果、成層圏にあるオゾンの濃度は低下していき、オゾン層破壊が起きるのです。

「オゾン層破壊」の現状は?

オゾン層の破壊については、1970年代に人工的に作られたフロンによって、懸念されていました。1980年代に最もオゾンは減少したと言われており、現在もその当時に比べてオゾン全体量は少ない状態が続いています。

オゾン層破壊の対策として、現在はオゾン層を破壊しない「代替フロン(HFC)」というものの使用が増加しています。国際的にも、「ウィーン条約」や「モントリオール議定書」によって、オゾン層破壊物質の削減を目指す動きがなされています。

ウィーン条約

本条約においては,締約国が,
ア オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとること(第2条第1項)
イ 研究及び組織的観測等に協力すること(第3条)
ウ 法律,科学,技術等に関する情報を交換すること(第4条)等について規定している。

「オゾン層の保護のためのウィーン条約」の概要 |外務省

モントリオール議定書

ア 議定書に定める規制措置
 本議定書において規定する主な規制措置は次のとおりである。
(ア)各オゾン層破壊物質(ODS:Ozone Depleting Substances)の全廃スケジュールの設定(第2条のA~I)
(イ)非締約国との貿易の規制(規制物質の輸出入の禁止又は制限等)(第4条)
(ウ)最新の科学,環境,技術及び経済に関する情報に基づく規制措置の評価及び再検討(第6条)
(エ)代替フロンとして使用されるハイドロフルオロカーボン(HFC)の段階的削減スケジュールの設定(第2条のJ)(2016年の議定書改正で追加)

イ 議定書の下での規制措置の強化
 モントリオール議定書の採択後,議定書締約国の間でオゾン層の破壊状況と規制措置についてさらに検討が行われた結果,オゾン層の回復に向けてさらに強力な対策を行う必要性が認識されたこと等から,
(ア)1990年6月 議定書第2回締約国会合(ロンドン会合)
(イ)1992年11月 議定書第4回締約国会合(コペンハーゲン会合)
(ウ)1995年12月 議定書第7回締約国会合(ウィーン会合)
(エ)1997年9月 議定書第9回締約国会合(モントリオール会合)
(オ)1999年12月 議定書第11回締約国会合(北京会合)
(カ)2007年9月 議定書第19回締約国会合(モントリオール会合)
 の6回にわたって規制措置の強化が実施された。さらに,2016年10月の第28回締約国会合(キガリ会合)では,代替フロンとして使用され,オゾン層は破壊しないものの高い温室効果を有するハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産・消費を規制する議定書改正(キガリ改正)が採択された

「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の概要 |外務省

私たちができること

地球規模の現象を、人々の力で簡単に止めることはできません。一方、日常生活における紫外線への対策は、小さなところから行うことができます。

  • 日焼け止めを塗る
  • サングラスを着用し、目を保護する
  • UV対策の施された衣類を身に着ける
  • むやみに日向に出ない

以上のように、自分自身の身を守るような行動を取ることをオススメめします。

まとめ

オゾン層の破壊は、紫外線による人体への被害が増大してしまうという事態につながるということがわかりました。また、その原因となる「フロン」が身近な場所で使用されているということもわかりました。

科学の発展による代替物質の登場や、国際的な取り組みによって、対策が講じられていますが、個人個人ができることを継続的に行っていくことも大切でしょう。

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