サステイナブルファッションとは ?取り組みの背景やブランド5選を紹介

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サステイナブルファッションという言葉を最近よく聞くようになりました。

SDGsを意識した、環境に負荷を与えないような、ファッションの在り方がトレンドになりつつあります。

ここでは、サステイナブルファッションについて、サステイナブルファッションとSDGsとの関係性について詳しく解説いたします。

サステイナブルファッションとは

サステイナブルファッションとは、言葉の通り、持続可能なファッションのことを指します。ファッションにおける持続可能性とは、服の製造や流通が自然環境や社会に適した状態であることを指します。

洋服を製造するアパレル業界の立場からすると、製造から廃棄までの一連プロセスを自然環境や労働環境を配慮した取り組みにすることと言えます。

また、私たち消費者の立場で見ると、サステイナブルファッションに取り組む企業を選択していくことや、リサイクルなど洋服との付き合い方を見直すことを意味します。

サステイナブルファッションはSDGs12の目標である「作る責任 使う責任」を実現するための取り組みの1つです。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発指標」と略されます。国連加盟193か国が2030年までに取り組んでいく17個の目標から構成されています。

2015年9月の国連サミットで採択され、現在世界各国で17個の目標達成に向けて取り組みが行われています。

SDGsに関し詳細を知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
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SDGs目標12は、フードロスと同じく、持続可能な生産消費形態を確保し、資源の枯渇を防ぐことを目的としています。

【関連記事】https://wearth.tokyo/sdgs-foodloss/

目標12の中で、とくにサステイナブルファッションにかかわる項目の目標やアクションについては、以下のものがあげられます。  

12.22030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成する。
12.42020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.52030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.a開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

2019年のG7サミットにおいて、PRADAやGUCCIなど大手ブランドメーカーが中心となり、「ファッション協定」を発表しました。気候変動、生物多様性、海洋保護の3分野で実践的目標の達成を目指し、SDGs目標と同じく2030年にむけて企業がそれぞれ具体的なアクションをすることが決定されました。

同年に、10の国連機関がUN Alliance for Sustainable Fashion(持続可能なファッションのための国連アライアンス)を立ち上げています。

「持続可能なファッションのための国連アライアンス」(United Nations Alliance for Sustainable Fashion)は、ファッション部門の協調的行動を通じ、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献することを目的に、国連諸機関と連携団体が立ち上げたイニシアティブです。アライアンスは具体的に、ファッションの問題に取り組み、ファッション業界のバリューチェーンがSDGsのターゲット達成に貢献することを確保するプロジェクトや政策を促進する国連機関間の調整支援に努めています。

出典:国際連合広報センター

「ファッションのための国連アライアンス」とは「ファッションの問題に取り組み、ファッション業界のバリューチェーンがSDGsのターゲット達成に貢献することを確保するプロジェクトや政策を促進する国連機関間の調整支援」をしていく、という宣言のこと。

ファッション業界のCO2の排出量が年々増加傾向にあり、今や全世界の温室効果ガスの8から10%を占めるまでになっています

この状況からファッシヨン業界のSDGsへの取り組みが喫緊の課題となっています。では、具体的にどんな問題があるか見ていきましょう!

持続可能なファッションが注目される背景

アパレル業界ではトレンドになっている、サステイナブルファッションですが、持続可能性が求められる背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

大きく

  • 資源の大量消費
  • 過酷な製造環境で働く人々
  • 衣類の大量廃棄
  • 天然の材料の使用

の4つの項目を解説していきたいと思います。

資源の大量消費

環境省によると、衣類などを作る工程で、資源の大量消費が問題となっています。日本では年間83億㎡の水を消費しているとされています。2019年の国内の服の供給量から換算すると、服一着に対し、2,300ℓ(浴槽11杯分)の水を使用している換算になります。

製造過程では生地の余りなどが大量に発生していることも、製造コストの浪費と言えます。年間4万5000トン、服にして1.8億着分の端材が発生しているとされています。

天然素材であるコットンの栽培も大量の水や農薬を使うことで自然環境に負荷を与えています。カザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖「アラル海」は世界第4番目の面積を占める湖でした。

しかし、コットン栽培により、湖の水が枯渇し、消滅してしまう危機にさらされています。これは20世紀最大の自然破壊とも言われています。

過酷な製造環境で働く人々

廉価で過酷な労働を強いられている労働者の存在も忘れてはなりません。発展途上国などでは長時間労働、低賃金、児童労働や危険な薬品の取り扱いを強いられています。

2013年にバングラデシュでおきたラナ・プラザ崩落事件は非常にショッキングな出来事としてファッション業界に影を落としました。1000人以上の死者が出たこの事故は、ファッション史上最悪の事故とも呼ばれています。

また、染色工場の近くでは、川が化学物質で汚染するなど環境汚染が進み、健康被害が起きています。

衣類の大量廃棄

衣類がごみとして処分されることによる環境負荷も大きな課題です。近年は供給量に対し、価格が下落傾向にあり、大量廃棄が進んでいます。

統計上日本では、購入する服の数より、実際に着る数が少なく、一回も着られていない服が一人あたり年間25 着もあるとされています。

日本の廃棄される衣類のごみは年間50万8千トン。リサイクルされるより燃えるごみとして処分されることが圧倒的に多く、環境省によると一日当たりに焼却や埋め立てされる衣類のごみは大型トラック13台分にもなるそうです。

天然の材料の使用

動物由来の素材を使ったファッションは動物たちが犠牲になっているケースがあります。

牛皮などは、畜産の副産物として利用されており、動物を余すことなく利用するという観点では、環境循環型エコということができます。

「毛皮農場」と言われる劣悪な環境の飼育場で毛皮を取るために殺される動物もおり、生命の尊厳を奪われています。

オーストラリアなどでは羊やアルパカなどのウール産業において虐待が報告されており、動物保護団体などからウールの不買運動が起きています。

サステイナブルファッションにおける3つの要素

「製品が環境に配慮されている」

一つは、製品が環境に配慮されて作られていることです。

自然由来の素材を使ったものや、環境負荷をできる限り抑えた洋服作りをしていることがサステイナブルファッションにとって最も重要な要素となります。
多くの衣類は化学繊維で作られています。

製造過程における環境の負荷も大きく、廃棄しても自然に還りません。コットンは天然素材ですが、大量の水や化学肥料で作っているため環境負荷が問題となっています。

一方で、オーガニックコットンは環境に負荷を与えずに栽培されており、自然に還りやすい素材です。他にも麻・竹などの植物繊維を使った生地、ペットボトルを原料とするプラスチックの再利用、草木染なども環境負荷が低くサステイナブルファッションにあたります。

受注生産、作り直して再販売するアップサイクル、長く着られるようにデザインにするなども環境に配慮されたものと言えます。

「公平や雇用形態、安全な職場環境が確保されている」

公正な取引のもと労働者が安全な労働働環境で製造を行っているか、という点も重要です。

労働者は、毒性のある薬剤を使わず、衛生的で、安全な労働環境が確保されなくてはいけません。また、公平な取引が行われることも重要です。フェアトレードなどがその一例です。

消費者は、トレーサビリティ(生産履歴の追跡可能性)が確保されている企業を積極的に選択していくことが大切となるでしょう。

「動物の権利が守られている」

動物たちに負荷を与えない洋服の作り方をしているかどうかも要件としてあげられます。アニマルフリーと言われる動きがその例です。

サステイナブルファッションの先駆者であるイギリスの高級ブランドStella McCartney(ステラマッカートニー)は、動物由来の毛皮や革製品を一切使っていません。

2016年にはアルマーニが、2017年にはGUCCIが毛皮製品を今後使用しない「ファーフリー」を宣言したこともファッション界に大きな影響を与えました。

サステイナブルファッションブランド5選

ここでは、有名ブランドが行っているサステイナブルファッションの取り組みを紹介します。

①H&M

スウェーデン発のファストファッションブランドです。

製品に使用するコットンはすべてオーガニックかリサイクル、またはサステイナブルに調達されたもの。新素材の開発に力を入れており、ブドウやオレンジの皮などの廃棄される部分を材料にした天然繊維製品を作っています。

全店舗で古着の回収を行っています。

*H&Mの公式サイトはこちら

②ZARA

ZARAは、インディテックスが展開するスペインのファッションチェーンです。

2025年までにはサステイナブルな素材を100%に、2050年までにはゼロエミッション(CO2ゼロ)を目指す挑戦をしています。

環境に配慮したアイテムを「JOIN LIFE」という名前で販売。省エネ・節水などに環境に負荷をかけない流通や販売に取り組んでいます。古着回収リサイクルも世界で行われています。

*ZARAの公式サイトはこちら

③adidas

再生素材を活用した商品開発に力を入れているのがアディダス。

2020年にはブランドを代表する“スタンスミス(STAN SMITH)”の全商品をリサイクル素材に切り替えました。2024年までに、すべての製品にリサイクルポリエステルを100%使用するという目標を掲げています。

*adidasの公式サイトはこちら

④Patagonia

創立当初からエコロジーに配慮したアウトドア用品ブランドのパタゴニア。1990年代からオーガニックコットンのみを使用した商品を販売しています。最新作では海洋漁網で廃棄された網を使った帽子が作られています。

洋服のリペアを引き受けて長く着てもらう取り組みも行っています。
2025年までには再生可能エネルギーへの切り替え、サステイナブルな素材を利用した商品をラインナップしてカーボンニュートラル実現を目指します。

*Patagoniaの公式サイトはこちら

⑤UNIQLO  

「服のチカラを、社会のチカラに。」をキャッチフレーズに、地球環境に配慮した洋服作り、働く人の健康と安全を守る取り組みをしています。

2019年からダウンのリサイクルが始まり古着の回収も行っています。
ペットボトルから作られたポロシャツを販売したり、ジーンズの加工工程で使われる水の削減など行ったりしています。

*UNIQULOの公式サイトはこちら

日々の生活でサステイナブルファッションを意識してみよう!

これまでサステイナブルファッションの要素を満たすブランドをいくつか紹介してきました。

しかし、ファッションブランドはたくさんあるので簡単に見分けたいですよね!

自分が選んだ洋服がサステイナブルファッションか判断するときに助けとなるのが洋服についているタグです。

オーガニックテキスタイル世界基準という認証マークがついた商品は原料がオーガニックであることだけではなく、繊維の収穫、加工、製造、流通のすべての過程において環境的・社会的に配慮したものであることが認められたものに付けることができるマークです。

購入の際にはチェックするとよいでしょう!

まとめ

本記事では、サステイナブルファッションとSDGsとの関係について紹介しました。

・サステイナブルファッションとは、環境に配慮され、公平な雇用形態が守られ、動物の権利が守られているファッションのことである

・ファッション業界における環境への負荷は大きく、サステナビリティが強く求められている

・大手企業もサステイナブルファッションへシフトチェンジし、様々な取り組みが行われている

SDGsへの取り組みの評価が高い企業ランキング2020では、海外の企業をみると10位以内にはファッション関連の企業は入っていません(27位にH&M)。国内ランキングではユニクロが9位にランキングされています。

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環境への負荷の割合からすると、サステナブルファッションの取り組みは加速して推進していかないといけないことが分かりました。

サステイナブルファッションもフードロスと同じく、作る企業・使う消費者の両輪で取り組むもの。消費者が地球環境に負荷を与えないようなファッションを選択していきましょう。

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