【赤潮とは】発生のメカニズムや生態系への影響を解説・関係性の深い「アオコ」現象も紹介

環境問題の一つである赤潮

海岸線をドライブした際、海面が赤く濁っているような光景をみたことがある方も多いのではないでしょうか?本コラムでは、海面が赤く見える減少である「赤潮」に発生のメカニズムや生態系への影響まとめました。

「赤潮」とはどんな現象?

赤潮とは、人々の活動などによって、海の栄養分が増えることで、植物プランクトンが過剰に発生し、海面が赤く見える現象のことです。赤潮は、海水中に生息する藻類が増殖し過ぎることが原因で発生します。このとき、藻類が多量に排出する色素が海水を赤く染めるため、赤潮と呼ばれます。

ニュースになるくらい、大規模な赤潮が生じることもあります。

トイレやお風呂などの生活排水や、工場での排水等によって栄養分が増加し発生することが多く、日本では「東京湾」はもちろん、狭い地形である「瀬戸内海」などでもよくみられる現象です。

「栄養塩」と「富栄養化」というキーワード!

リン

さて、栄養というと人間の場合「ミネラル・タンパク質・脂質・ビタミン」と言ったものを思い浮かべるでしょうか?科学や生物学の分野においては、窒素・リン・ケイ素などの微量な元素のことを指します。

そして、これらのことを「栄養塩」呼びます。

植物プランクトンにおいての3大栄養素は「窒素・リン・ケイ素」です。以下、栄養塩という言葉があったらこれらをイメージしながら読み進めてください。また、植物プランクトンの栄養源となる「栄養塩」が過剰になった状態のことを「富栄養化」と言います。

反対に、「貧栄養化」という言葉もあり、栄養塩が著しく少ない状態を指します。透明度の高い湖などが、これに当たることが多いです。合わせて、このキーワードも抑えてもらうといいでしょう。

「赤潮」のなにが問題なのか?

問題

赤潮が発生すると大きく3つ、問題となることがあります。

①魚が死んでしまう

富栄養化の結果、植物プランクトンが過剰に発生すると、やがて大量の植物プランクトンの死骸が漂うことになります。すると、その海域に住む魚のエラに、植物プランクトンの死骸がつまり、酸欠状態になった魚は、死んでしまいます。

また、藻類が多量に排出する酸性物質や過酸化水素は、海洋生物の体内に取り込まれると、内臓を傷めることもあります。

また、その海域に存在するバクテリアは植物プランクトンや魚の死骸を分解しようとするため、大量の酸素が消費されます。その結果、魚が酸欠して死んでしまうこともあります。

②養殖産業に大ダメージの可能性

日本では養殖産業が盛んです。スーパーに行けばブリやハマチなど、リーズナブルで美味しい魚が並んでいますね。さて、養殖がどのような場所で行われているかご存知でしょうか?

環境問題となる赤潮が起こりやすい湾

上記の画像のように、養殖は沿岸部、湾の中で行われることが多いです。なぜならば台風などの自然現象の影響を受けにくいため、施設を管理するのに歴しているからです。

では、こう言った湾内で赤潮が発生するとどう言ったことが起こるでしょうか?

まず、湾内で赤潮が発生すると、海域が酸欠状態になります。また、養殖魚のエラには植物プランクトンの死骸がつまり、酸素を十分に供給できなくなります。結果、大量の養殖業が死んでしまうということになります。

また、漁業従事者は、大きな損害を受けてしまいます。その結果、魚類の値上げをしなければならない、なんてことも起こりうるのです。

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③景観などの問題

3つ目は景観的ダメージや、臭いと言った部分です。例えば人気のドライブコースとなっている沿岸付近で赤潮が生じれば、綺麗な海を見ることはできません。また、沿岸部に住む人々は、赤潮が生じた場合、生臭い匂いに悩まされなければいけません。

さらに、赤潮が発生しやすいイメージが人々に定着すると、観光地として人気がなくなり、地域経済にも悪影響を与えます。赤潮は、沿岸部や海岸沿いの地域にとって、大きな問題となる現象です。そのため、赤潮の発生を防ぐための取り組みが必要です。

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「赤潮」の発生を予防・抑制する方法

赤潮の発生は海洋生態系に大きな影響を与えます。しかし、予防と抑制の方法を理解すれば、その影響を最小限に抑えることができます。

排水を見直す

まず、赤潮の発生には様々な要因が関係しますが、その中でも水質汚染が大きな要因となります。具体的には、排水や農薬などに含まれる窒素・リンなどの栄養塩が海に流れ込むと、これらが赤潮を引き起こすプランクトンの増殖を助けてしまいます。

そこで、農薬の適正な使用や生活排水の処理を徹底することが重要です。

赤潮を早期発見できる体制を整備する

また、赤潮の早期発見と迅速な対応も大切です。赤潮の発生を早期に察知し、海水の循環を促すなどの対策を行うことで、赤潮の拡大を防ぐことができます。最後に、これらの対策は個々の行動だけでなく、地域や国家レベルでの取り組みも必要です。

赤潮と密接な関係にある「アオコ」

赤潮と密接な関係を持つ自然現象の1つに、「アオコ」という現象が挙げられます。赤潮を理解する上でも重要な要素なるので、以下に紹介いたします。

「アオコ」とは?

アオコは、特定の種類の植物プランクトン(主に藍藻類)が大量に増殖し、水面が緑色や青緑色に染まる現象を指します。このプランクトンの集団が水面に浮き上がり、まるで緑色の塗料を流したように見えることから、アオコと呼ばれます。

アオコの発生原因

アオコは、特定の種類の植物プランクトンが大量に増殖し、水面が緑色や青緑色に染まる現象ですが、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。主な原因としては、富栄養化、水温の上昇、そして日照時間の長さという3つの要素が挙げられます。

富栄養化とは、生活排水や農業排水などに含まれる窒素やリンといった栄養塩が、湖沼や河川に過剰に流れ込むことです。これらの栄養塩は、植物プランクトンにとって栄養源となり、まるで肥料を与えられたように植物プランクトンが爆発的に増殖します。この状態を「富栄養化」と呼び、アオコ発生の最も大きな原因の一つです。

水温の上昇もアオコ発生を促進する要因となります。水温が高いと、植物プランクトンの生育が活発になり、増殖速度が速まります。特に夏場のように気温が高く、日照時間が長い時期は、水温の上昇が顕著になり、アオコが発生しやすい環境となります。

日照時間もアオコの発生に深く関わっています。植物プランクトンは光合成によって成長するため、日照時間が長いほど光合成が活発になり、増殖速度が速まります。特に夏場のように日照時間が長い時期は、植物プランクトンの増殖が盛んになり、アオコが発生しやすい条件が整います。

つまり、アオコは、富栄養化によって栄養が豊富になり、水温が上昇し、日照時間が長いという条件が揃うことで、大規模に発生しやすいのです。これらの要因が複合的に作用し、アオコが発生しやすい環境を作り出していると言えるでしょう。

アオコがもたらす影響

アオコが発生すると、水環境に様々な悪影響をもたらします。まず、アオコが死滅し、水中で分解されると、悪臭を発生させたり、水中の酸素を消費したりすることで、水質が悪化します。これにより、魚や貝などの水生生物が酸素不足に陥り、窒息死してしまう可能性があります。

さらに、アオコの中には、神経毒や肝臓毒を持つ種類も存在し、水生生物だけでなく、それを捕食する鳥類などにも悪影響を及ぼすことがあります。また、人に対しても、アオコに触れることで皮膚炎を起こしたり、アオコを含む水を飲用することで、肝臓や神経系に障害が出る可能性があります。

このように、アオコは生態系全体に悪影響を与え、ひいては私たちの生活にも影響を与える深刻な問題です。

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まとめ

排水

赤潮という現象は

  • 酸欠状態になり魚が死んでしまう
  • 養殖漁業にダメージの可能性
  • 景観面や臭いと言った部分で悪影響

という影響を及ぼします。

そして赤潮の原因となる「富栄養化」の元を辿ると、生活排水や工業廃水と言った人間活動によるものということを、お分かりいただけたと思います。

企業や政府だけでなく、個人としてもこの流れを理解した、環境に優しい行動ができるといいのかもしれませんね。

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