バイオマス発電という発電方法をご存知でしょうか?発電方法の1つとして、国内外で注目を集めています。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まったことで,全国各地で木質バイオマス発電所の建設に向けた動きがみられるようになった
未利用材の供給不足が懸念される木質バイオマス発電 | 農林中金研究所
本コラムでは、バイオマス発電の発電方法や課題、将来性について、解説してまいります。
バイオマス発電とは?
バイオマス発電とは、植物や木材、動物の排せつ物など、天然由来の有機物を燃料として発電することです。バイオマスは、化石燃料と比較して二酸化炭素の排出量が少なく、再生可能なエネルギー源として注目されています。また、バイオマスは地球上に豊富に存在しており、地域の特性に合わせたバイオマス発電の導入が可能です。
バイオマス発電が注目を浴びる理由
バイオマス発電が注目を浴びている理由の一つに、化石燃料と比較して環境に対する影響が小さいことが挙げられます。バイオマスは天然由来の有機物を燃料として使用するため、二酸化炭素の排出量が少なく、温室効果ガスの削減に貢献することができます。また、バイオマスは再生可能なエネルギー源であるため、長期的なエネルギー供給を確保することができます。さらに、バイオマスは地球上に広く存在しており、地域の特性に合わせたバイオマス発電の導入が可能であるため、地域の自立性を高めることもできます。
バイオマス発電の種類と特徴
バイオマス発電とは、生物資源(バイオマス)を燃料として利用して電力を発電することです。バイオマス発電には、以下のような種類があります。
直接燃焼方式
直接燃焼方式は、バイオマスを直接燃やすことで発電する方式です。バイオマスの種類に応じて、木質バイオマス、農作物の藁や米ぬか、動物の糞尿などが利用されます。燃焼によって発生する蒸気をタービンに送り、発電します。
熱分解ガス化方式
熱分解ガス化方式は、バイオマスを高温で加熱し、ガス化することで発電する方式です。高温下でバイオマスを熱分解することで、水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素などのガスが発生します。発生したガスを燃焼して蒸気を発生させ、タービンに送ります。
生物化学的ガス化方式
生物化学的ガス化方式は、微生物を利用してバイオマスを発酵させ、メタンや水素などのガスを生成し、そのガスを利用して発電する方式です。主に家畜の糞尿や農作物残渣が利用されます。
液体燃料化方式
液体燃料化方式は、バイオマスを液体燃料に変換し、発電する方式です。バイオマスを熱分解して生じたガスを再度化学反応させ、メタノールやエタノール、バイオディーゼルなどの液体燃料に変換します。
専門家の坂井氏によれば、以下のように述べられています。
一つにバ イオマスを熱化学的に分解してH2とCOを 主成分とする合成ガスをつくり、これを触媒によってメタノール燃料 とする製法がある。この技術は農林水産省技術会議事務局の委託を受けて企業で実証された。ほぼ実用段階 に入った技術レベルにあると判 断できる。
バイオマスの液体燃料化 | 21世紀と新エネルギー
これらの方法以外にも、バイオマス発電には様々な方法が存在します。適切な方法を選択するには、地域のバイオマス資源の有効活用や、環境に配慮した発電方法などを考慮する必要があります。
バイオマス発電の課題
バイオマス発電は、再生可能エネルギーの一つとして注目を浴びています。しかし、その実現には様々な課題が存在しています。
①資源に限りがある
まず、バイオマス資源の限界や資源確保の課題が挙げられます。バイオマス発電に必要なバイオマス資源は、農業や林業などの生産過程から出る農業残渣や木質バイオマス、廃棄物から得られるバイオマスなどが挙げられます。しかし、これらのバイオマス資源は、限られた量しか存在せず、さらには競合する用途が存在するため、資源確保には課題があります。
②コストがかかる
また、バイオマス発電の経済的課題も存在しています。バイオマス発電は、設備投資や運転コストが高く、また、バイオマス資源の入手にも費用がかかるため、電力の単価が高くなりがちです。そのため、バイオマス発電の普及には、低コスト化や補助金などの政策的な支援が必要とされます。
③地球環境との共存
さらに、バイオマス発電が地球環境に及ぼす影響や問題点も存在しています。例えば、バイオマス資源を確保するための農地や森林の拡大により、生物多様性の低下や環境破壊が進む可能性があります。また、バイオマス発電によって排出される二酸化炭素や窒素酸化物の量によっては、大気汚染や酸性雨などの環境問題を引き起こす可能性もあります。
このように、バイオマス発電には多くの課題が存在しています。これらの課題を解決するためには、バイオマス資源の効率的な活用や、技術の進歩、政策的な支援などが必要とされます。また、環境への影響についても、十分な配慮を行いながらバイオマス発電を推進することが求められます。
バイオマス発電の将来性
上述の通り、バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つとして注目を集め、今後の発展が期待されています。今後のバイオマス発電の発展には、技術の進歩や政策的な支援が必要とされます。技術の進歩によって、バイオマス発電の効率が向上し、コストが低減されることが期待されています。また、政策的な支援によって、バイオマス発電の普及が促進されることが期待されています。
例えば、補助金や税制措置などが導入され、バイオマス発電の普及を後押しすることができます。バイオマス発電が持つ可能性や、地球環境やエネルギー問題への貢献の可能性は高く、技術の進歩や政策的な支援によって、今後ますます普及していくことが期待されます。
まとめ
バイオマスは化石燃料と比較して、二酸化炭素の排出量が少なく、温室効果ガスの削減に貢献することができる方法です。バイオマスは再生可能なエネルギー源であるため、長期的なエネルギー供給を確保することが利点です。サステナブルなエネルギー活用に向けて、ますます注目していきたいですね。
【参考文献】
未利用材の供給不足が懸念される木質バイオマス発電 | 農林中金研究所