サステナビリティ・リンク・ボンドとは?サステナブルファイナンスとの関係性・グリーンボンドとの違いを解説

最近、サステナビリティ(持続可能性)に関心を持つ企業や投資家が増え、サステナブルファイナンスの需要が高まっています。その中でも、サステナビリティ・リンク・ボンドは、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するためのファイナンス手段として注目されています。本記事では、サステナビリティ・リンク・ボンドについて詳しく解説します。

サステナビリティ・リンク・ボンドとは?

サステナビリティ・リンク・ボンド(Sustainability-Linked Bond)とは、企業が発行する債券の一種で、発行条件が企業のサステナビリティ目標達成に基づいて設定されます。

具体的には、企業が事前に設定したサステナビリティ指標(KPI)を達成することが条件となり、達成しなかった場合には利子の引き上げなどのペナルティが課せられます。

サステナビリティ・リンク・ボンドの発行原則は、2020年6月に国際キャピタル・マーケット協会(ICMA)が発表した「サステナビリティ・リンク・ボンド・プリンシプル」に基づいており、以下の5つで構成されます。

  • KPI(重要業績評価指標)の選定
  • SPTs(サステナビリティパフォーマンスターゲット)の設定
  • 債券の特徴
  • レポーティング
  • 検証

この原則には、以下のようなガイドラインが含まれています。

・サステナビリティ・リンク・ボンドは、企業のサステナビリティ目標を達成するための資金調達手段として利用されるべきである。
・サステナビリティ指標は、企業の事業戦略や業種に応じて設定されるべきである。
・サステナビリティ指標は、透明かつ公正な方法で設定され、その達成度合いも開示されるべきである。
・サステナビリティ指標の達成度合いに基づいて、利子率などの発行条件が調整されるべきである。

参考:サステナビリティ・リンク・ボンド原則 自主的ガイドライン

サステナブルファイナンスとの関係性

画像出所:サステナブルファイナンスの取組み | 金融庁

サステナビリティ・リンク・ボンドは、サステナブルファイナンスの一種として位置付けられます。サステナブルファイナンスとは、環境・社会・ガバンス(ESG)に関するリスク・チャンスを考慮し、持続可能性の観点から投資・融資を行うことを指します。

サステナビリティ・リンク・ボンドは、企業が自社の持続可能性に関する取り組みを具体的な指標に落とし込み、市場からの資金調達を行うことができるため、サステナブルファイナンスの一環として注目を集めています。

グリーンボンドとの違い

グリーンボンドとサステナビリティ・リンク・ボンドは、いずれも企業が持続可能性に関する資金調達を行うための債券ですが、異なる点があります。

グリーンボンドは、発行した資金を環境に貢献するプロジェクトに投資することを目的としています。一方、サステナビリティ・リンク・ボンドは、企業のサステナビリティ目標の達成に資するために資金調達を行うことを目的としています。つまり、グリーンボンドはプロジェクトに直接投資することが目的であり、サステナビリティ・リンク・ボンドは企業全体のサステナビリティへの取り組みを評価する手段として位置づけられます。

サステナビリティリンクボンドのメリット・デメリット

メリット

サステナビリティ・リンク・ボンドのメリットとしては、以下の点が挙げられます。

・企業のサステナビリティへの取り組みが市場から評価されるため、持続可能性に対する企業の意識向上や投資家の持続可能性への関心喚起につながる。
・企業が自ら設定したサステナビリティ指標に基づき、市場から資金調達を行うことができるため、企業の自主性が尊重される。
・サステナビリティ指標の達成度合いに応じて発行条件が調整されるため、企業が持続可能性に取り組む意欲が高まる。

デメリット

デメリットとしては、以下の点が挙げられます。

・サステナビリティ指標の達成に対する企業の責任や信頼性に関わるため、指標の設定や達成度合いの評価についての公正性や信頼性が求められる。
・サステナビリティ指標の設定や達成度合いに対する市場の理解や認知度が低い場合、資金調達の効果が限定的になる可能性がある。
・サステナビリティ・リンク・ボンドの発行にはグリーンボンドと同様にコストがかかるため、資金調達コストの増加や投資家への利回り低下が生じる可能性がある。

サステナビリティリンクボンドの事例

サステナビリティ・リンク・ボンドの発行は、世界中で増加傾向にあります。ここでは、いくつかの事例を紹介します。

ヒューリック

ヒューリックは、日本初のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行した企業です。

不動産大手のヒューリックは2020年10月15日、日本初となる「サステナビリティ・リンク・ボンド」を発行した。ESG目標と発行条件が連動する社債で、発行額は100億円、発行年限は10年間である。大手資産運用会社や、地方の信用組合や信用金庫が投資を表明した他、大手生命保険なども買い手となった。

日本初のサステナビリティ・リンク・ボンド発行 |日経ESG

日本製紙グループ

日本製紙グループは、自社が設定したサステナビリティ目標の達成に向けて、2020年にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しました。発行額は500億円で、設定した指標の達成度合いに応じて、発行条件が調整されます。なお、国内製紙業界の企業では初の発行となりました。

参考:大王製紙株式会社 第21回無担保社債(社債間限定同順位特約付) | 環境省

まとめ

サステナビリティ・リンク・ボンドは、企業が自社のサステナビリティ目標を具体的な指標に落とし込み、市場からの資金調達を行うための債券です。グリーンボンドとは異なり、サステナビリティ・リンク・ボンドは企業全体のサステナビリティへの取り組みを評価する手段として位置します。

サステナビリティ指標の設定や達成度合いの公正性や信頼性が求められるため、国際的な原則やガイドラインに従って発行が進められています。また、サステナビリティ・リンク・ボンドの発行にはグリーンボンドと同様にコストがかかるため、資金調達コストの増加や投資家への利回り低下が生じる可能性があることも考慮する必要があります。

一方で、サステナビリティ・リンク・ボンドは、自社のサステナビリティ目標達成に向けた取り組みを示すことで、投資家からの評価や信頼を高め、長期的な持続可能性を追求するための有効な手段となっています。世界的な社会課題に対する取り組みが求められる中、サステナビリティ・リンク・ボンドの発行により、企業が社会的責任を果たすことに寄与することが期待されています。

最後に、サステナビリティ・リンク・ボンドは、発行者のサステナビリティ目標達成の進捗状況に基づいて利率が変動するという独自の仕組みを持ちます。

このため、企業は自社のサステナビリティ目標を達成することが、投資家からの信頼や長期的な持続可能性を追求するために不可欠であることを改めて認識することができます。企業が自らの取り組みを透明化し、市場からの評価を受けることで、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進むことを期待することができます。

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