サステナブルシーフードってなに?言葉の定義と具体例を紹介します!

マクドナルドやパナソニックの社員食堂など、大企業でもサステイナブルシーフードが取り入れられるようになってきました。

「サステイナブルシーフード」とは、MSCやASCといった国際的な認証システムを受けた水産物のことです。この認証は自然環境や社会に十分な配慮されているかどうかを厳正に審査します。

ここではサステイナブルシーフードとSDGsとの関係やサステイナブルシーフードを取り入れている企業などについて詳しく紹介します。

サステイナブルシーフードとは?

結論、持続可能な生産方法で得られる食材(サステイナブルフード)のうち、水産物のことをサステナブルシーフードと言います。

食べ物の生産流通過程が自然環境や社会に負荷を与えない持続可能な食の在り方として「サステイナブルフード」という動きが浸透しつつあります。

サステイナブルフードの中でも、サステイナブルな漁業によって得られた水産物のことを「サステイナブルシーフード」言います。次のように定義されています。

将来もお魚を食べ続けていくことができるように、水産資源や環境に配慮し適切に管理されたMSC認証を取得した漁業で獲られた水産物、あるいは環境と社会への影響を最小限に抑えたASC認証を取得した養殖場で育てられた水産物を「サステナブル・シーフード」といいます。

「サステナブル・シーフード」とは? | サステナブル・シーフード

SDGs目標14との関係性

SDGs17項目のうち14番目の目標が「海の豊かさを守ろう」です。この目標では海洋汚染の削減、水産資源の保全と持続可能な利用などを呼びかけています。

現在、海の問題として次のようなものが挙げられます。

・マイクロプラスチック問題
・水産資源の減少
・サンゴ礁絶滅の可能性
・海洋酸性化

環境に配慮した持続可能な漁業の在り方であるサステイナブルシーフードの取り組みは、「海の豊かさを守る」有効な方法の1つとされています。

「サステイナブルシーフード」には、大きく分けて「天然」と「養殖」があります。

天然には、MSC認証、養殖にはASC認証があります。さらに両認証のトレーサビリティを保障するのがCoC認証です。詳しく見ていきましょう!

なお、サステイナブルフードの概要を知りたい方は関連記事の「サステイナブルフードとは ?注目される背景や具体的な事例を紹介」をご覧ください!

サステイナブルシーフードにおけるキーワード

それでは、サステイナブルシーフードを理解する上で非常に重要な

  • MSC認証
  • ASC認証
  • CoC認証

の3つについて詳しく解説していきます。

MSC認証

MSCとはMarine Stewardship Council:海洋管理協議会の略称で、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際非営利団体です。

MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)の厳格な規格に適合した漁業で獲られた持続可能な水産物にのみ認められる証、それがMSCラベル、通称「海のエコラベル」です。

MSC「海のエコラベル」とは | Marine Stewardship Council

MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)の公式サイトでは、MSC認証(MSCラベル)について上記のように紹介されています。

MSCは、1997年にイギリスで設立し、日本の本部は2007年に開設されました。

MSCの漁業認証は、3つの原則を用いて審査が行われます。内容を見てみると分かる通り、漁業が持続的に行われ、海の資源を有効に活用する漁業であることが重要視されていますね!

原則1:資源の持続可能性
過剰な漁獲を行わず資源を枯渇させないこと。枯渇した資源については回復を論証できる方法で漁業を行うこと。

原則2:漁業が生態系に与える影響
漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。

原則3:漁業の管理システム
地域や国内、国際的なルールを尊重した管理システムを有すること。また、持続可能な資源利用を行うための制度や体制を有すること。

MSCとは? | サステイナブルシーフード

なお、国内においてMSC認証を取得している漁業は以下の表の通りです。

団体名対象漁業所在地開始年数
北海道漁業協同組合連合会ホタテガイ漁業 北海道2013年
明豊漁業株式会社カツオ・ビンナガ一本釣り漁業宮城県2016年
石原水産株式会社カツオ・ビンナガ一本釣り漁業静岡県2019年
マルト水産株式会社垂下式カキ漁業兵庫県2019年
株式会社臼福本店タイセイヨウクロマグロはえ縄漁業宮城県2020年

詳細は参照記事「サステナブル・シーフード:MSC認証を取得している日本国内の漁業」をご覧ください!

ASC認証

ASCはMSCの養殖版の認証制度のことを指します!

なお「ASC」はAquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会の略称で2010年に設立の独立した国際的な非営利団体です。

現在ASC認証となっている魚介類は以下の12魚種です。

  1. サケ
  2. ブリ・スギ類
  3. 淡水マス
  4. シーバス・タイ・オオニベ類
  5. ヒラメ
  6. 熱帯魚類
  7. ティラピア
  8. パンガシウス
  9. 二枚貝(カキ、ホタテ、アサリ、ムール貝)
  10. アワビ
  11. エビ
  12. 海藻

また、ASC認証を取得した養殖場は国内で67ありますので、詳細が気になる方はぜひチェックしてみてください。

CoC認証

まず、CoCはChain of Custody の略で「加工・流通過程の管理」を意味します。

そして、CoC認証は、MSCとASC非認証の水産物の混入を防ぐとともに、製品がたどってきた経路を遡ることができるトレーサビリティを確保するためのしくみです。

水産物の流通・加工の過程では、MSCやASCの認証を取得した漁業者・養殖業者による認証水産物と、そうでない水産物が混ざってしまう可能性があります。
こうした非認証の水産物の混入を防ぐとともに、製品がたどってきた経路を遡ることができるようトレーサビリティを確保するためのしくみが、CoC認証です。

CoC認証とは? | サステイナブルシーフード

日本においてCoC認証取得企業は144あり、約300の商品が登録されています(2020年9月現在)。

日本の漁業が直面する課題

サステイナブルシーフードが、SDGs目標14とも関係性が強く、また注目されていることを解説してきました。

続いてここでは、日本の水産業をとりまく問題について触れます。サステイナブルシーフードの推進をすることで、日本の漁業が直面する課題の解決につながります。具体的な課題とそれに対するアプローチを最後に確認していきましょう。

①魚の乱獲

国連食糧農業機関(FAOが)まとめている「世界漁業・養殖業白書 2020」によると、世界の水産資源は漸減傾向にあるとされています。世界の漁業の34.2%が持続可能な水準を超えて漁獲されているとされています。

水産庁は、日本での漁業・養殖業生産量について次のように説明しています。

我が国の漁業・養殖業生産量は、昭和59(1984)年をピーク(1,282万トン)に平成7(1995)年頃にかけて急速に減少し、その後は緩やかな減少傾向が続いています。昭和59(1984)年以降の急速な減少は、沖合漁業のうちまき網漁業によるマイワシの漁獲量の減少によるものであり、これは海洋環境の変動の影響を受けて資源量が減少したことが主な要因と考えられています

漁業・養殖業の国内生産の動向 | 水産庁

沖合漁業の減少もさることながら、日本は戦後の食糧難の時代に国策として漁業に力をいれ、漁場を拡大し沢山の魚を獲ってきました。そのため、たまごを生む親の魚まで獲ってしまい、その結果、天然の魚の量が減少したとの指摘もされています。

参照元:日本だけが漁獲量減少、ノルウェー漁業を見習うべき理由

その後、オイルショックによる操業経費の高騰をきっかけに、水産資源を有効に活用していくことが重要視されるようになります。具体的な資源管理としては、

  1. 漁船の規模や隻数等を制限
  2. 漁船設備や漁具の仕様を規制
  3. TAC制度によって、漁獲量の上限値を定める

といった3つのコントロールをすることで、水産資源を持続的に管理・利用してきました(水産省HP参照)。

TAC制度についてはこちらの【解説】水産資源の有効活用のために!TAC制度とは?を参照してください。

②輸入への依存

国内の海産物の生産量が減少しており、輸入に対する依存も増加傾向にあります。日本はヨーロッパ、アメリカに次いで世界で3番目に水産物の輸入をしている国です。自給率は2019年で56%となり前年比だとマイナス3%となっています。

参照元:世界の水産物貿易 | 水産庁

減少の背景には1970年後半の200海里水域制限により遠洋漁業の漁場が狭まったことや、1980年代後半からは、日本近海の水産資源が減ってきたことなどが挙げられます(前述)。

また、輸入が増加した要因として、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビ等など、日本ではあまり獲れない魚を消費者が求めるため、海外から仕入れるという傾向もあります。

③高齢化と後継者不足

漁業に携わる高齢化と後継者不足も挙げられます。

MSCによれば、漁業就業者数は一貫して減少傾向にあり2017年(平成29)年には前年から4%減少して15万3,490人となったことが報告されています。1998年から2018年の20年間では47.5%も減少しています。

さらに年齢別に就業者の割合を見ると65歳~74歳までの割合が最も高く、高齢化が進んでいると言えます。

日本の漁業の経営は主に家族単位で行われており、後継者は漁師の子供が一般的です。漁師の子供が必ずしも漁師になる選択をするわけではないため、後継者不足となり、代替わりをせずに高齢になっても漁業に携わっていることが考えられます。

解決に向けてシーフードができること。

サステイナブルシーフードは、環境にできる限り負荷を与えない漁業を行うため、水産資源が守られ、漁獲量の減少を抑えることができます。持続的に水産物を得られるようになることで、安定収入を得ることが可能となります。

水産庁には次のように、水産業のあるべき姿について述べられています。

漁業資源量 に変動を及ぼす要因としては環境による影響も大きいものの、漁業活動による影響も無視で きないことから、環境による影響も考慮しつつ、漁業活動を適切に管理していくことにより、 漁業資源を持続的に利用できるようにしていくことが必要です。長期的な観点から漁業資源を保存しながら持続的に利用していくためには、漁業活動を適 切に管理することを通じて、資源に対する利用の度合い(漁獲圧)を調整することが求めら れます。

我が国の資源管理の現状と課題 | 水産庁

日経ESGによると、アメリカの大手小売業ウォルマートは「持続可能な魚を品揃えしてキャンペーンを実施した店は、生鮮水産物の売り上げが25%も向上した」と報告しています(日経ESG、2020年12月記事)。

このようにアメリカを始めヨーロッパなどの先進国ではサステイナブルシーフードの需要が高まっていることが実証されています。

*SDGsに関する海外企業の取り組み事例に関し、詳しく知りたい方はこちらの【海外事例】2020年SDGs企業ランキングと各国の達成状況をご覧ください

今後もサステイナブルフード同様、サステイナブルシーフードの市場は拡大する期待が日本でも見込まれています。次に、実際にサステイナブルシーフードを取り扱っている企業をいくつか見ていきましょう。

企業のサステイナブルシーフードの活用事例

サステイナブルシーフードは企業でも食堂などで積極的に活用されています。その事例を見ていきましょう!

パナソニックの社員食堂

パナソニックでは2018年から本社を含む2拠点の社員食堂でサステイナブルシーフードの導入を開始しました。

https://youtu.be/K4GEi9oKlh4

企業が社員食堂でサステイナブルシーフードを継続的に提供するのは日本で初めての取り組みです。2021年3月には51拠点に拡大、全ての社員食堂(約100拠点)に導入を予定しています。

イオングループ

2016年のグリーンピースによる調査によると、イオングループは、国内で最もサステイナブルシーフードを取り扱っているスーパーマーケットです!

MSC認証の魚は24種類、ASC認証の魚は10種類(2019年)取り扱っており、鮮魚だけでなく惣菜も各種販売しています(イオンネットスーパーではMSC・ASCそれぞれ63件ヒットしました)。

ニッスイ

魚肉ソーセージや冷凍食品を販売するニッスイは、国内外グループ会社においてMSC認証、ASC認証などを取得し、現在MSC認証商品は25種類、ASC商品は4種類販売しています。

ニッスイグループでは、CSR経営のマテリアリティ(重要課題)のひとつに「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達を推進する」を挙げて、海洋環境や水産資源の持続性、CSR調達といった社会課題に取り組んでいます。

ニッスイグループはMSC認証水産物であるスケソウダラやホキ・ホタテガイ等でMSC-CoC認証(Chain of Custody、加工流通過程の管理に関する認証)を得ており、これらを使用した冷凍食品や練り製品・加工水産物などを生産・販売しています。また、2017年12月、ブリ養殖・加工を営むグループ会社の黒瀬水産株式会社が、世界で初めてブリのASC認証を取得しています。

「サステナブル・シーフード・ウィーク2019」を協賛 | 日本水産株式会社

水産食品をメインに扱う企業ということもあり、積極的にさすテイナブルシーフードを活用していることがわかります。

同業の水産メーカーでも似たような取り組みを行う企業は多いので、気になる方は是非チェックしてみてください!

まとめ

以上サステイナブルシーフードについて詳しく紹介しました。

・サステイナブルシーフードは国際的な認証を受けた環境や社会に負荷をできる限り与えない水産物のことを言う。

・サステイナブルシーフードの推進によって、SDGs.14の「海の豊かさを守ろう」にアプローチすることができると同時に、日本の抱える漁業の問題の一助となりうる。

・サステイナブルシーフードを積極的に取り扱う企業が増えている

海の豊かさを守るためにも、水産国である日本がなすべき使命は大きいと思います。

漁業や、環境問題、そして、安心安全な食事を守るためにも積極的にサステイナブルシーフードを選択していくと良いでしょう!