エアコンのつけっぱなしは電気代の節約になるのでしょうか?メーカーの実証実験によると、つけっぱなしが節電になりますが、条件によってはこまめなオン・オフのほうが節電になるとのこと。
この記事ではエアコンの節電方法と、つけっぱなしの時に気を付けたいことや、節電効果を上げる方法について解説します。
つけっぱなしが節電になる?
メディアでの報道などで、「エアコンはつけっぱなしが実は節電になる」といった内容を目にしたことがあるかと思います。まずはその実態を紹介していきましょう。
エアコンは運転開始時に電気をたくさん使う
エアコンをつけっぱなしにしたほうが節電になるといわれていますが、それはなぜでしょうか。理由はエアコンの起動時に消費電力をたくさん使うからです。外気との温度差が高い場合や(温度変化しやすい)木造の建物の場合は特に起動時の消費電力は高くなります。
起動時には電力をたくさん使いますが、設定温度になるとわずかの消費電力で室内の温度を保ち続けます。つまり、つけっぱなしにしておけば、起動させるための電気を消費しないので節電になるのです。
これまで一般的につけっぱなしのほうが節電になると言われてきました。しかし2021年のパナソニックと2016年・2017年のダイキンの実証実験によると、こまめにオン・オフをしたほうが節電になるケースがあるという結果が出ています。具体的に見てみましょう。
節電になるケースは?
パナソニックとダイキンの実証実験にもとづいて、つけっぱなしが節電になる場合とならない場合をそれぞれ紹介します。
パナソニックの実証実験では、夏は気温が35度以上の猛暑日、冬は3度以下の場合はつけっぱなしが節電になると結論しています。
反対にこまめなオン・オフで節約になるケースは、夏は30度以下、冬は3度以上であれば30分ほどの外出でも一度オフにしたほうが節電になるとしています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000494.000024101.html
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000024101.html
一方、ダイキンでは、夏は日中(9:00~18:00)の30分ほどの外出であればつけっぱなしが節電になり、夜間(18:00~23:00)の比較的気温が下がる時間帯は、こまめにオン・オフする方が節電になるとしています。
暖房の実証実験ではつけっぱなしの場合と生活モデルで比較実験をしています。生活モデルは、睡眠時や外出時にオフをするパターンで、つけっぱなしよりも適宜オン・オフする生活モデルの方が消費電力を小さくできるという結果が出ています。
参照:https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05
参照:https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05/page02
以上のメーカーの実証実験からもわかるように、つけっぱなしが必ずしも節電にならないことがわかります。
また、建物の構造やその日の気温、天気、住んでいる場所によっても節電効果は異なります。断熱性の高い建物であれば室内の温度の変化が緩やかなので外出時にオフにするほうがつけっぱなしより節電になる可能性があります。
古いエアコンは要注意
エアコンが古いと十分な節電効果は得られません。環境省によると、10年前のものを買い替えるとマイナス5%の省エネがあるとしています(クールチョイス)。
自宅のエアコンの消費電力について知りたい場合は、「省エネ製品買い替えナビゲーション しんきゅうさん」というサイトがお勧めです。このサイトは環境省が運営しており、自宅のエアコンの購入年数と、メーカー、製品番号を入力すると、新旧の製品の消費電力や電気代の差額がわかります。大幅に電気代が異なる場合は買い替えの時期と考えてよいでしょう。
つけっぱなしのデメリット
つけっぱなしが節電になる場合に気を付けたい点は次の3つです。
・内部クリーニングができない
・冷えすぎる・乾燥する
・換気ができない
内部クリーニングができない
エアコンをつけっぱなしにした場合、冷房のオフ時に自動的に稼働する「内部クリーニング」が使えません。内部クリーニングは庫内の湿気を送風や暖房で逃がしてカビを防ぐ働きがあります。
内部クリーニングを使えないと庫内に結露ができてカビが増殖する恐れがあります。長めの外出の際などは電源をオフにして内部クリーニングをしましょう。
冷えすぎる・乾燥する
就寝時には体温が下がるため、冷えすぎて風邪をひいてしまったり、乾燥しすぎたりして喉を傷める恐れがあります。
就寝時は温度設定を普段より弱めて就寝しましょう。また夏場は風が直接当たらないようにし、冬場は加湿器を使いましょう。
換気ができない
エアコンでは換気ができません。なぜなら、エアコンは部屋の空気を吸い込んで温かくしたり冷たくしたりしているため、外気を取り込んではいないからです。最近のエアコンには空気清浄機能のついたものも販売していますが、一般的なエアコンは換気ができません。
換気は、一般的に1時間に2回5分間するとよいとされています。換気をしている間もつけっぱなしの方が節電になりますので、エアコンをつけた状態でも換気は行いましょう。
エアコン効果をあげる5つのTips
ここではエアコンの効果をさらにあげる方法を5つ紹介します。
自動運転モードにする
設定を自動運転モードに設定しましょう。特に起動時は自動運転モードにして強風で一気に設定温度にすると節電になります。起動時に微風に設定してしまうと、いつまでも設定温度に達成せず、結果電気をたくさん使ってしまうからです。
設定温度になったあとも自動運転のままにします。微風で温度を一定に保つことで節電になります。
サーキュレーターを使う
サーキュレーターを利用して空気を循環させましょう。空気を循環させることで効率よく部屋を暖めたり冷やしたりできます。冷たい空気は下に、温かい空気は上に行きます。
冷房時はサーキュレーターをエアコンの対角線上に起き、エアコンに向けて回します。暖房時は、エアコンから少し離れた部屋の真ん中あたりから真上に風を送ります。
窓の断熱をする
窓から外の冷気や熱気が入ってくるので、夏場は断熱、冬場は保温対策が必要です。次のような対処をすることで室温の保つ助けになります。
・ 2重窓にする
・遮光や断熱カーテンにする
・窓ガラスに断熱シートを貼る
2重窓にするには工事が必要ですがDIYでプラスチック段ボールなどを利用して簡易的につけることもできます。また窓の下からながれる冷気をふせぐボードなどもおすすめです。
定期的に掃除をする
エアコンのフィルターは定期的に掃除をしましょう。フィルターは掃除をしないとほこりがたまってしまいます。フィルターが詰まっていると空気を取り込むときに余計な電力を使ってしまうのでこまめに掃除をしましょう。
また、エアコン本体のクリーニングも半年から1年に一度するのがお勧めです。カビやほこりなどの汚れを取ってきれいなフィルターで稼働するので節電が期待できます。
設定温度を少しだけ変える
環境省によると、夏の冷房時に1℃高くすると約13%、冬の暖房時に1℃低くすると約10%の消費電力が削減されるそうです。
ただし、温度を変えると快適指数も下がる可能性があるので湿度調節をするとよいでしょう。夏場は除湿、冬場は加湿することですずしさや温かさを感じやすくなります。
まとめ
これまで、エアコンの効果的な使い方や、節電のためのtipsを紹介してきました。
資源エネルギー庁の調査(2013年)によると、家庭の電気量の約6割をエアコンが消費しているそうです。エアコンの節電をすることでCO2排出削減につながります。快適に過ごせるよう工夫をし、持続可能な社会にむけて節電を心がけましょう。
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