「食品添加物」とは?メリット・デメリットを解説

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食品添加物というとマイナスのイメージが強いかもしれません。日本にはどれくらいの食品添加物があるのか、メリット・デメリットなどについてまとめました。また海外や国際機関の食品添加物の取り扱いについても紹介します。

食品添加物とは?

食品添加物については食品衛生法では次のように定義しています。

添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。

出典:食品衛生法 第4条第2項

つまり、食品添加物とは、食品を製造したり加工したりする際に、長持ちさせたり色をつけたりするために添加されるものをいいます。それ自身のみで食品として食べられることはありません。

日本で認可されている食品添加物

日本で認可されている食品添加物は約1500品目に及びます。
次の4種類に分けられています。

指定添加物(472品目) 厚生労働省が認可したもの(化学化合物、天然物含む)
既存添加物(357品目)広く使用されており、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたもの。
天然香料(約600品目) 動植物から得られる天然の物質で、食品に香りをつける目的で使用されるもの
一般飲食物添加物(約100品目)通常は食品として用いられるが、食品添加物的な使い方をするもの。
(品目数は2021(令和3)年現在)

参照元:厚生労働省

2番目の既存添加物に関しては法改正の際に厚生労働省の認可のないまま今まで経験的に使われてきた添加物として登録されているものです。その後の安全性評価の結果、削除された添加物もあります。

食品添加物のメリット

食品添加物を利用するメリットについて消費者の視点から見ていきましょう。

メリット①食中毒から身を守り食品を長持ちさせる

食品添加物の最も大きな働きが食中毒から身を守ることです。保存料によって食中毒の原因になる菌が増えるのをおさえ、酸化防止剤によって品質がおちたり色が悪くなったりするのを防ぎます。

メリット②食感や味、香り、いろどりがよくなる

甘味・酸味・苦味・旨味だけでなく、辛さや香り、食感なども添加物によってつけることができます。乳化剤、増粘剤は食感をなめらかにしますし、香料や着色料などで香りやいろどりを鮮やかにしてくれます。

メリット③価格が安定する

食品添加物によって保存能力があがったことにより、輸送費のコストも軽減され価格も安定的になります。また、化学合成した添加物を使うことで天然でえられるものより材料費もおさえられています。

メリット④栄養を強化できる

不足しがちな栄養素などを補うことができます。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが使われています。栄養強化の目的で使われる場合は表示しなくてもよいとされています。

メリット⑤食生活を豊かにしている

そもそも食品添加物がないと作られない食品があります。とうふはにがりの代わりとなる塩化マグネシウム、パンはイーストフード、そして中華麺はかんすいの役割として炭酸ナトリウムなどを使用して作られています。こういった食品は日本人の食生活には欠かせないものとなっています。

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食品添加物のデメリット

次にデメリットについて触れます。日本では各種団体や企業、ジャーナリスト、マスメディアの影響でかなりネガティブな情報が主流です。ここでは過剰な不安をあおるデメリットにならないように触れたいと思います。

デメリット①糖分・脂質・塩分過多になる

美味しさが増すことでたくさん食べすぎてしまうということがあります。また食塩は食品添加物ではありませんが、加工品の保存性を高めるために含まれており、塩分の取りすぎを招きます。
なめらかで味わいが良い分、脂を感じにくかったり、糖質をとりすぎたりというリスクがあります。

デメリット②添加物以外の用途で食してはいけない

食品添加物はそれ自身で食べることを目的としていません。そのため、食品添加物としてではなく別の目的で使われた場合は健康被害にあう可能性があります。

日本の事例では「D-ソルビトール」という食品添加物を食品として販売し、タピオカココナッツミルクとして飲んで下痢をした、という報告が全国からよされられたことがありました。販売されていたタピオカココナッツミルクには甘味料としてではなく、「やせる飲み物」として下剤を促進させる目的で使われていたそうです。

おなじように豆腐の「にがり」を飲んでダイエット、活性炭をつかったダイエット商品なども同じく本来の使い方ではありません。

食品添加物として使った場合は安全性を認められているものでも、食用などで大量につかった場合は決して安全性は確認されていないところは注意したいところです。

デメリット③一日摂取許容量がある(ADIについて)

上記のデメリットでもふれたように、食品添加物は適切な量を使うことを想定して安全性を評価しています。

安全性を調べる試験では、毎日一定量を食べ続けても異常が出てこないとされる最大無作用量を推定しそれを無毒性量とします。
さらにその無毒性量の100分の1の値を一日の摂取許容量としています。これをADIと言います。

極端に同じ食品を大量に食べない限り毒性はありませんが、ゼロではない、ということです。

デメリット④アレルギー物質が入っていることがある

食材そのものにアレルギーがなくてもアレルギー品目由来の食品添加物が含まれていることがあります。

天然由来の食品添加物も多くあるため、アレルギー食品から添加物を作っている場合は、○○由来という表記をしています。赤い着色料はカニ色素、乳化剤はカゼイン(乳由来)などと表記されます。こういったものはごく微量のためアレルギー反応がおきることは少ないとされています。

デメリット⑤味覚障害や発がん性物質?

食品添加物の危険性について触れている情報もたくさんあり、中でも「発がん性物質がある」「味覚障害になる」といった言説があります。味覚障害の根拠としてあげられているのは、亜鉛の吸収を阻害するものが添加物にふくまれていることが挙げられています。

また、発がん性物質があり危険という主張は、「発がん性があるのをしっていながら国の都合で認可しているものがある」「動物実験で発がん性が認められた」などといったものがあります。それらの主張に対し、学術者や食品加工業界などは「はっきりとした科学的根拠を示していない」と異議を申し立てている現状です。

日本の食品添加物に関する歴史と安全性について

ここでは食品添加物が使われ始めた背景とその安全性について解説します!

食品添加物の起源は自然界の貯蔵技術から

肉や魚などの燻製や塩漬けは昔から行われている保存方法です。また、かつて中国では岩塩を入れて小麦粉を練ることで独特の食感と風味がうまれることを発見しました。いわゆる自然のかんすいです。

こういった自然にあった素材を使って食材を加工し保存する技術を、化学的に作り出したものが食品添加物です。

日本で化学合成された食品添加物が使われ始めたのは明治ごろとされています。当時は海外から入ってきたものを含め品質が悪いものが多く、中毒者がでていました。

1947年には「食品衛生法」が制定され、食品や食品添加物、それに使用する器具や容器などについて法制化されました。

安全性について

食品添加物は厚生労働省の毒性試験で安全性が確認されると使用が認められます。既に厚生労働省で認可が下りている食品添加物であっても、繰り返し毒性試験を行っています。

安全性の面からだけでなく、有効性、必要性も一緒に検討され、製造技術や保存技術の進化で使用されなくなったものは削除されています。

安心と安全の違い

厚生労働省により繰り返し安全を確認しているにもかかわらず、依然として「食品添加物は危険」という言説が強いのはなぜでしょうか。
これには「安全」と「安心」の違いが根底にあるといえます。日本の食品に関する事件を紐解いてみましょう。

1955年に粉ミルクに含まれる安定剤にヒ素が混入していたことにより1万3000人の乳児が中毒症状を起こし、130人が死亡するヒ素中毒事件が起きました。これは教科書にも載り、公害問題として認識されています。

1970年代には防腐剤を使ったマウス実験でがんが発生した研究が公表され、「食品添加物に発がん性物質がある」と新聞で報道されました(フリルフラマイド騒動)。

また、2004年には既存添加物の一つである「アカネ色素」から発がん性が認められ、名簿から削除されたことがありました。国の「安全性」に対する信頼が損なわれることなり、当時はマスコミで大きなニュースとして取り上げられました。

さらに度重なる企業による食品表示偽造の問題もあり、企業や政府に対する不信感がぬぐえないのが現状といえそうです。
「安全」と評価をうけた食品添加物であっても企業や政府に対し「安心」できないという心理が働いていると考えられます。

もちろん、デメリットで述べたように、使用方法によっては健康被害がゼロではないという点も不安を感じる要素になっています。

*参考:森永ひ素ミルク中毒事件について | 厚生労働省
*参考:食品添加物の考え方 | 小田原女子短期大学
*参考:食品添加物「アカネ色素」を既存添加物名簿から消除することについて | 厚生労働省

海外の食品添加物について

海外や国際機関の食品添加物の定義はそれぞれ異なっています。

EU

食品添加物、食品酵素、香料といった分類があり、食品添加物と香料に関してはデータベースで検索することができます(食品酵素についてはリストを作成中)。

参照元:https://webgate.ec.europa.eu/foods_system/main/?event=display

こちらのデータによると食品添加物は約400、香料に関しては2547(2020年現在)リストがあります。

アメリカ合衆国

アメリカでは、食品医薬品法に指定されている食品添加物と、GRASと呼ばれるリストがあります。GRASは企業が食品や食品成分をアメリカ食品医薬品局(FDA)に届け出るもので、政府(FDA)が安全と判断したものがリストアップされています。

塩などの食品から食品添加物までありとあらゆるものがあり、日本の食品添加物の定義とはかなり違う評価をしていることがわかります。

WHOの食品添加物の取り扱いについて

WHOはFAO・WHO合同専門委員会(JECFA)で、食品添加物の安全性の評価を行っています。

参照元:https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/food-additives

国際食品基準設定機関であるコーデックス委員会が国際基準を定め、国際取引される食品の参照としています。しかし、この基準は各国に義務づけられていません。

つまり、食品添加物の認可については国際的にはまだ統一されていないといえます。ただし、国際紛争が起きた場合はコーデックス基準が参考にされます。

おすすめの書籍を紹介

正しく食品添加物のことを知るために、おすすめの書籍をまとめました。食品添加物に関して考える際は、有識者や研究機関が公開する信頼できる情報源をもとに判断をすることが重要です。ぜひ参考にしてみてください!

タイトル著者
1食品の裏側―みんな大好きな食品添加物安部 司
2新版「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物渡辺雄二
3長村教授の正しい添加物講義長村 洋一
4危険な添加物! がんがイヤなら、これは食べるな渡辺 雄二
5ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方中戸川貢
有機栽培の特徴・利点とは?地球と健康にやさしい選択

まとめ

重要

・日本の食品添加物は1400品目ほどある

・食品添加物のメリットとしては、品質保持、味わい食感のよさなどがあり、デメリットとしては、脂質、炭水化物、塩分の取りすぎなどがある

・食品添加物は国によって安全性が確認されているが、社会通念的には「不安なもの」とされている。原因は企業の異物混入事件や食品表示偽造、添加物の毒性を示した過去の研究などの歴史に根強くある

・海外の食品添加物の基準は各国によって定義や品目が異なり統一されていない

・国際的にはWHOのコーデックスによって安全基準を策定しているが、強制力はない

・食品添加物のメリットとしては、品質保持、味わい食感のよさなどがあり、デメリットとしては、脂質、炭水化物、塩分の取りすぎなどがある

食べ物は重要な関心事であるためたくさんの情報があふれています。安全で健康的な食生活を選びたいと思うのは当然です。食品添加物を完全に避けたい人もいらっしゃるかと思いますが、実際は多くの食材に利用されています。

私たちは食品添加物を含め食べ物について、誰がどんな目的でその情報を発信しているのか読み取っていく必要があるでしょう。賢く楽しく食生活を営んでいきましょう。

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