地球温暖化や異常気象が社会問題となっている中で、脱炭素・カーボンニュートラルという言葉をメディアなどでもよく聞くようになってきました。とはいえ、どのような意味なのかいまいちわからない、言葉の違いを知りたいと考えている人もいます。
本記事では、脱炭素・カーボンニュートラルといった言葉の意味から、社会の動き、二酸化炭素の原因などについて詳しく解説します。この記事を参考に、ぜひ脱炭素社会を目指してみてください。
【言葉の定義】脱炭素・カーボンニュートラルとは?
脱炭素とカーボンニュートラルは、どちらも炭素に関連した言葉です。そのため、どれも同じだと考えている人もいるかもしれませんが、厳密には違っています。
地球温暖化や異常気象に対してエコを推進するのであれば、言葉の定義や意味を知っておく必要があるでしょう。
ここでは、それぞれどういった意味なのかを詳しく解説します。なんとなく知っているという人も言葉の意味を正確に理解して、地球温暖化対策を進めましょう。
脱炭素とは?
脱炭素とは、パリ協定で掲げられた目標を達成するために求められた政策のことです。2050年までに、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標が掲げられています。
そもそもパリ協定とは、2015年に温室効果ガス削減の取り組みが話し合われ、「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意されたものです。
生活全般だけでなく、産業においても脱炭素化を図り、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に頼り切らない社会を目指します。脱炭素社会とは、エネルギーを化石燃料に頼り切らずに二酸化炭素排出量の実質ゼロ社会を目指した社会のことです。
地球温暖化や異常気象をもたらしている温室効果ガスのほとんどは、二酸化炭素が占めています。二酸化炭素排出量がゼロになる脱炭素社会が実現することで温室効果ガスが薄まり、地球温暖化を抑えることができるでしょう。そのためにも、脱炭素の目標に向かって二酸化炭素を削減する必要があります。
カーボンニュートラルとは?
「カーボンニュートラル」は、温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなどの排出量から、自然に吸収または除去される量を差し引いて、全体として温室効果ガスの排出量をゼロにする状態を指します。
これは環境化学の用語として使用されています。一般的に、社会や経済活動において二酸化炭素排出を完全にゼロにするのはほぼ不可能です。そこで、「カーボンニュートラル」は、排出した炭素と同等の分を除去・吸収することで、最終的には中立の状態に戻す概念を表しています。
「実質ゼロ」にすると思われるかもしれませんが、脱炭素は炭素自体を完全にゼロにする考え方に対して、「カーボンニュートラル」は中立の状態に戻すことを重視しています。
つまり、全体的なゼロを目指す際に、炭素の排出と吸収を調整してバランスを取る点が、これらの言葉の大きな違いです。企業、都市、そして個人において、「カーボンニュートラル」を実現するためには、様々な手段を駆使して炭素排出量を相殺する必要があります。これにより、企業は炭素排出のバランスを保ちつつ、最終的な目標である二酸化炭素排出を実質的にゼロにする方向に向かっています。
組織が「カーボンニュートラル」になるためには、炭素排出量を計算し、同量の温室効果ガスを削減または除去するプロジェクトに投資することが求められます。再生可能エネルギーの導入や森林再生、二酸化炭素回収技術の利用など、様々なプロジェクトがその手段として検討されています。
カーボンニュートラルの利点と課題
カーボンニュートラルになると、いくつかのメリットが得られます。 まず、持続可能性への取り組みを示し、組織の評判を高め、環境に配慮した顧客を惹きつけることができます。 第二に、エネルギー効率対策や再生可能エネルギー源の利用によりコスト削減につながる可能性があります。
さらに、カーボンニュートラルは、組織が規制を遵守し、将来の可能性のある炭素価格設定メカニズムの先を行くのに役立ちます。 ただし、カーボンニュートラルの達成には課題も伴います。 排出量を測定し削減するプロセスには専門知識とリソースが必要です。
複雑なサプライチェーンを持つ大規模な組織では、これは特に複雑になる可能性があります。 さらに、カーボン オフセット プロジェクトの利用可能性と信頼性はさまざまであるため、信頼できて影響力のある取り組みを選択することが不可欠です。 最後に、カーボンニュートラルの達成は継続的な取り組みであり、現状を維持するには継続的な監視と改善が必要です。
【関連】低炭素
大きく関連する用語として、「低炭素」があります。低炭素とは、2015年にパリ協定ができる以前の政策目標でした。もともと1992年の「国連気候変動枠組条約」が採択されたころから、脱炭素化はいわれていました。
地球温暖化を止めるためには、このまま炭素を排出し続けていてはいけないと気づいていたのです。とはいえ、経済政策に重点を置いている国の中枢は、脱炭素を受け入れることができず、「国連気候変動枠組条約」に関しても、とくにルールを決めてはいませんでした。そのため、なかなか炭素の削減が進まなかったのです。
しかし、5年後の「京都議定書」によって、具体的なルールが定められました。そこで取り決められたのが、「現状から何%減少させるのか」という目標です。それこそが、「低炭素」であり、「低炭素社会」へ向けた取り組みです。「京都議定書」から10年もたってから当時の日本の首相が掲げた目標は、2050年までに炭素量を60%~80%削減するというものでした。
脱炭素の重要性
気候変動は、今日地球が直面している最も差し迫った課題の 1 つです。 主に二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中へ過剰に放出されると、地球の気温が大幅に上昇し、さまざまな環境問題や社会問題が生じています。 これらの影響を軽減するために、脱炭素化が重要な解決策として浮上しています。
脱炭素化とは、炭素集約型の経済から、再生可能エネルギー源に依存し、炭素排出を最小限に抑える経済への移行を指します。 化石燃料への依存を減らし、持続可能な実践を取り入れることで、気候変動の影響を軽減できるだけでなく、将来の世代のためによりクリーンで持続可能な未来を築くこともできます。
社会の動きに注目しよう
年々地球温暖化が深刻化してくることもあって、社会の動きも変わってきました。京都議定書・パリ協定・気候変動サミットなどがあり、内容も厳しく具体的になっていっています。それぞれどのような内容なのか、詳しくみていきましょう。
京都議定書
京都議定書は、1997年の「地球温暖化防止京都会議(COP3)」で話し合われた内容をもとにした文書です。
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素(亜酸化窒素)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)及び六ふっ化硫黄(SF6)の6種類の温室効果ガスについて、法的拘束力のある数値目標を定めています。しかし、京都議定書は先進国を対象にしたものであり、発展途上国はとくに何もありません。
パリ協定
パリ協定は、2015年にパリで温室効果ガスの削減に関する取り組みが話し合われたときに定められた文書です。「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意され、条件が定められました。
それが、55か国以上の国の参加が必要であることと、世界の総排出量のうち55%以上をカバーする国が批准することとなっています。すぐに効力を発揮することはできないだろうといわれていましたが、パリ協定からわずか1年後に条件がそろい、発効しました。
気候変動サミット
気候変動サミットは、ニューヨークの国連本部で開催されるものです。最近では、2021年4月に開催されました。国連加盟の各国代表だけでなく、金融、企業、市民社会、地方自治体などの団体からもリーダーが出席します。
ゆえに気候変動サミットは、気候変動に対する行動と対策を整える場となり、また気候変動に対する声明を出す場でもあります。なお、排出量削減とレジリエンス強化につながる分野における、進展があることが目標です。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を解説!二酸化炭素増加の原因は?
そもそも、二酸化炭素の増加の原因は何なのでしょうか。これまでうまく自然と共存してきたにもかかわらず、近年は二酸化炭素の増加に伴って地球温暖化や異常気象などといった問題が出てきています。なぜそのようなことになったのかを把握し、地球温暖化を止めることが大切です。
化石燃料の使用
もともと人間がエネルギー源として使用していたのは、風や火などの自然の力です。それが、18世紀後半になって産業革命が起こって以来、化石燃料を多くエネルギー源として使用することとなりました。
化石燃料の使用は年々増えていき、その分二酸化炭素の排出量も増えていったためです。なぜなら、化石燃料は炭素が凝縮されていてエネルギー源として申し分ない代わりに、使うとはるか昔からその化石燃料の中にある二酸化炭素も一緒に放出してしまうというわけです。
森林の減少
森林の減少も、二酸化炭素が増えてきている原因の一つです。森林はもともと、二酸化炭素を吸収して酸素を出すという、人間とは逆のことをしていました。しかし、二酸化炭素を吸収してくれるはずの森林は年々伐採などで減少して入っているのに、二酸化炭素排出量は増え続けています。そのため、二酸化炭素の吸収が追いつかず増えてしまうというわけです。
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脱炭素やカーボンニュートラルについて、詳しく解説してきました。地球温暖化のためにだんだん温度が上昇し、二酸化炭素を含む温室効果ガスを何とかしなくてはならないことに、気づき始めています。
そのため、京都議定書やパリ協定など国際的な物も増え、日本でも2050年までに温室効果ガスをなくすなどの宣言などもあり、話題となりました。脱炭素社会で化石燃料を消費することで出てくる二酸化炭素をなくすことで、地球の気温が上昇することを食い止められると考えられています。
脱炭素社会やカーボンニュートラルを目指すためには、一人一人の協力が必要です。少しずつ協力して、地球温暖化を止めましょう。
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