水質汚染の原因とは?具体的な対策を解説

近年、水質汚染が問題になっています。川や海などが汚れてしまうと、海洋生物にも大きな影響が出るでしょう。水が汚染される、ということは決して他人ごとではありません。

そのため水質汚染の原因を把握して、どのような対策を立てるべきなのかを知っておく必要があります。本コラムでは、水質汚染の原因や、具体的な対策について詳しく解説します。家庭でできる対策もあるので、ぜひ試してみてください。

水質汚染とは?

水質汚染とは、川や海の水が汚れてしまうことです。とはいえ、本来であれば川や海の自浄作用が働くため、汚れたままになってしまうということはありません。

しかし、川や海の自浄作用以上に水が汚れてしまったら、「水質汚染」となって汚れたままになり、自然の力だけでは元のきれいな水に戻ることができなくなってしまいます。

また、汚れた水を分解する微生物は、分解する際に酸素を必要としています。そのため、汚れがひどければひどいほどより多くの酸素が必要となり、川や海から酸素が減ってしまうでしょう。

水中の酸素がなくなってしまえば、酸素不足になった魚の大量死にもつながりかねません。水質汚染とは、人の生活だけでなく川や海の生態系にも、大きな変化をもたらします。

水質汚染の現状

水質汚染は、世界各国で深刻な問題となっています。実際に、水質が悪化して水道水が飲めなくなり、飲み水が確保できない地域もあります。

川の水が生命線だった地域でも同様で、きれいな水が確保できないため汚れた水を生活用水や飲み水として使用し、重篤な感染症によって命を落としてしまう人も多くいるのが現状です。

また、水質汚染によって海洋生物が減少することによって、捕食する野生動物の絶滅にもつながりかねません。もちろん、海洋生物が減少すればそれだけ漁獲量も減り、食卓への影響も少なくないでしょう。

水質汚染の原因

そもそも、水質が汚染されてしまうのは、主に人間の行いが原因です。生活排水・産業排水・地球温暖化などで流れ出る汚染物質が自然の持つ浄化力を大きく上回ってしまっているからです。

排水は、川の水を汚すだけでなく、川から繋がっている海までも汚してしまいます。いくら海が広いとはいえ、汚れた水がどんどん流れ込んでしまっては、汚染されるのも当然のことといえるでしょう。ここでは、3つの水質汚染の原因について、詳しく解説します。

①生活排水

生活排水は、いわゆる各家庭から流れる排水です。トイレやお風呂、洗濯の排水、台所から流れ出る水などです。家庭からは毎日のように、かなりの量の汚れた水が流れ出ています。

ちょっとくらい大丈夫だろう、と思うかもしれませんが、各家庭が少しずつ汚れた水を流すとかなりの量になるでしょう。そういった生活排水は、川に流れ込み、そこから海にも流れて行ってしまいます。

そういった汚れは、通常微生物が分解してくれるのですが、汚れが多すぎるととても追いつきません。分解しきれずに残った汚れがどんどんたまっていくことで、水質を汚染してしまいます。

②産業排水

産業排水は、工場や事業所、農場などから流れ出る汚れた水のことです。これらの水が河川に流れ込むことで、水質を汚染してしまいます。かつて日本では、多くの産業排水が河川に流れ込み、イタイイタイ病や水俣病などを引き起こしていました。これらの事件が教訓となり、その後規制が強化されたために産業排水による水質汚染は減少しました。水質保全のための設定は、以下の通りです。

公共用水域の水質保全を図るため、水質汚濁防止法により特定事業場から公共用水域に排出される水については、全国一律の排水基準が設定されていますが、環境基準の達成のため、都道府県条例においてより厳しい上乗せ基準の設定が可能であり、全ての都道府県において上乗せ排水基準が設定されています。一般排水基準を直ちに達成させることが困難であるとの理由により、暫定排水基準が適用されている1,4-ジオキサンについて見直しの検討を行い、2021年5月25日以降は一般排水基準に移行することを決定しました。

第2節 水環境の保全 | 環境省

③地球温暖化

地球温暖化は、水質汚染とは何の関係もなさそうに感じられますが、実は水質汚染の原因の一つです。地球の温度が上昇することによって、水温の上昇にもつながります。

水温が上昇すれば、水の中の生態系にも変化が起き、植物プランクトンなどの大量死などにつながることもあります。川や海の温度変化によって狂った生態系が、水質に大きな影響を与えてしまうでしょう。そのため、地球温暖化も水質汚染減の一つといえます。

水質汚染に対する取り組み

水質汚染に対する取り組みには、どういったものがあるのかを知っておくことが重要です。汚染された水は、人々の生活にも大きな影響を与えています。そのため、水質汚染に真剣に取り組み、できる限り水を汚さないように気をつけることが重要です。ここでは、水質を守るためにどのような取り組みがされているのかを、詳しく解説します。

水質汚濁防止法

今以上の水質汚染を防ぐために施行されたのが、「水質汚濁防止法」です。1970年に施行された法令であり、工場からの汚れた排水などが地下へ浸透し、生活や健康に害を及ぼさないようにという目的で制定されました。また、汚染物質の排出量や汚染物質の排出先などについても規制が行われています。

なお基本的な部分は変わってはいませんが、2012年5月に一部改訂が行われています。「水質汚濁防止法」が制定されたことで、産業排水による水質汚染はかなり減少したと言われています。

全国海の再生プロジェクト

全国海の再生プロジェクトは、国土交通省が行っている水質改善への取り組みです。活動自体は2002年から行っていましたが、その範囲は限定的でした。もともとは東京湾などの、水質が汚濁しやすい海域のみを対象としていたからです。

しかし、2005年には範囲を拡大し、東京湾、大阪湾、伊勢湾、広島湾で実施されることとなりました。活動内容としては、陸の排水が川や海に流れ込んで水質を汚濁させるのを防ぐための下水道の整備。海辺の清掃や環境教育、干潟の再生などです。全国海の再生プロジェクトの概要は、以下の通りです。

国土交通省及び海上保安庁では、都市再生プロジェクトの一環として、先行的に東京湾と大阪湾において、水質を改善し、市民に親しみやすい海を取り戻すため、関係機関等と連携して総合的な取り組みを実施しています。さらに、平成17年度から「全国海の再生プロジェクト」として、他の海においても水質の改善を進めていくこととしています。

『全国海の再生プロジェクト』について
出所:『全国海の再生プロジェクト』について

【家庭でもできる】水質改善に向けた具体的な対策

水質改善への取り組みは、家庭でできるものもあります。少しずつであっても、水質改善に向けた一人一人の取り組みが重要となってきます。そのため、どうすれば水質改善につながるのかを、把握し、実践しましょう。ここでは、家庭でできる水質改善に向けた具体的な対策について詳しく解説します。

生活排水の削減・改善

水質汚染の原因として最も深刻なのは生活排水なので、以下のような家庭での取り組みが重要です。

・食べ残しをしない

・油汚れはふき取って流さない

・洗剤を使いすぎない

・ゴミを河川に捨てない

・排水・側溝の掃除をこまめにする

たとえば、食べ残しを排水に流してしまうと、食べかすなどのゴミが川に流れ、水を汚してしまう原因になります。また、油汚れを川に流すのもNGです。油は油固め剤で固めてゴミとして捨てるか、ペーパーでふき取るようにしてください。

洗剤を使いすぎるのも排水が汚れる一因なので、注意しましょう。ゴミを河川に捨ててしまうと、当然水が汚れてしまいます。そのため、レジャーに行った際などゴミは必ず回収して帰るようにしてください。排水や側溝をこまめに掃除することも、生活排水の削減・改善として有効な手段です。

環境にやさしい電気利用

環境にやさしい電気の利用も、重要な取り組みです。なぜなら、地球温暖化も水質汚染の原因の一つだからです。発電時に温室効果ガスを発生しない再生可能エネルギーを活用することが、地球温暖化対策として有効です。環境にやさしい再生可能エネルギーを採用している電力会社の電気を活用することによって、地球温暖化による水質汚染を少しでも改善できるでしょう。

まとめ

水質汚染は、世界中で大きな問題となっています。水質が汚染されているために、生活用水どころか、飲み水の確保すらできない地域もあります。日本でも他人ごとではなく、水質が汚染されることによって漁獲量の減少や健康への影響などが懸念されます。

今回のコラムでは、水質汚染とは何か、原因や家庭でできる取り組みなどを解説しました。とくに家庭でできる取り組みは重要で、一人一人の取り組みが、日本の河川を守ることにつながります。水質汚染を防ぐため、日々の生活を守るためにも、できることから始めてみてください。