【ケミカルリサイクルとは】概要・メリット・デメリットを解説!マテリアルリサイクルとの違いも補足

はじめに「リサイクル」が、SDGsの目標達成に寄与することがあるとされているっことご存知でしょうか?なおSDGsとは、持続可能な開発目標の略称で、2030年までに、世界中の人々が持続可能な社会を実現することを目指した目標が定められています。

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)別ウィンドウで開くの後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

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「リサイクル」は、その1つである「持続可能な建設と都市の構築」の目標に寄与します。「リサイクル」を行うことで、資源の有効活用が図れるため、持続可能な建設や都市の運営が可能となります。本コラムでは、なかでも注目されている「ケミカルリサイクル」を紹介します。混同しやすい「マテリアルリサイクル」との違いも補足しています。

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ケミカルリサイクルとは?

ケミカルリサイクルとは、原料化学品や製品の分解、再構成を行うことを指します。このような技術を用いることで、効率的に資源を再利用したり、環境保全に寄与したりすることができます。

ケミカルリサイクルの具体的

ケミカルリサイクルの具体的な例としては、次のようなものがあります。

廃棄プラスチックの再生

プラスチックは、生活に欠かせないものとして、幅広い分野で利用されており、その消費量は増加しています。また、プラスチックは廃棄後も長期間にわたり土壌や水中で分解されないため、環境保全の観点でも問題視されています。

ケミカルリサイクルの技術を応用すれば、廃棄プラスチックを分解し、プラスチック原料を再生することができます。これにより、新しいプラスチック製品が作られることで、資源の有効活用が図れます。

廃油の再生

廃油は、水を流し込むことで、水土が汚染されることがあります。また、廃油が排水路や排水溝に流れ込むと、土壌や水中に溶け出し、毒性をもつ物質が生成されることがあります。また、廃油に含まれる物質は、魚や鳥などの生物にとって毒性がある物質です。廃油が水中に漏れると、水生生物が毒性を受ける可能性があります。また、廃油が土壌中に浸透すると、土壌生物が毒性を受ける

しかし、廃油は高温で加熱することで、石油や化学品の原料となるフィトールを抽出することができます。これにより、廃油から再生された原料を用いて、新しい化学品や燃料が作られることで、資源の有効活用が図れます。

バイオガス化

バイオガス化は、廃棄物や農業・林業廃棄物などの有機物を発酵させ、バイオガスを生成するプロセスを指します。このようなプロセスを用いることで、廃棄物からエネルギーを再生することができます。

バイオマス化は、資源の有効活用や環境保全に寄与することが期待されます。また、発酵させる有機物を原料とすることで、農業や林業においても、廃棄物の問題を解決することができます。

廃棄塩化物の再生

塩化物は、日常生活において広く利用されており、素材や溶剤として、様々な産業分野で利用されています。廃棄塩化物は、廃棄されると環境に悪影響を与えることがあります。

その理由として、塩化物が含まれるため、水を流し込むことで水質悪化や土壌汚染にまで影響し得るかことが挙げられます。また、廃棄塩化物が土壌や水中に溶け出し、毒性をもつ物質が生成されることもあります。こうした問題を解決するためには、廃棄塩化物を適切に処理する必要があります。

ケミカルリサイクルを用いて廃棄塩化物を正しく処理すれば、再生アルカリを作ることができます。これにより、廃棄塩化物から再生された原料を用いて、新しい化学品や燃料が作られることで、資源の有効活用が図れます。

ケミカルリサイクルに関する企業の取り組み

化学系の企業を中心に、ケミカルリサイクルに関する取り組みが進んでいます。ここでは具体例を、2つ紹介いたします。

①東レ株式会社

資源循環型社会の実現に向けた取り組み | 東レ株式会社

東レでは、提供するナイロン繊維製品において、ケミカルリサイクルを実施していることを発表しています。

②積水化学工業株式会社と住友化学株式会社

化学系の企業である積水化学工業株式会社と住友化学株式会社は、共同でケミカルリサイクルへの取り組みを発表しています。

積水化学工業株式会社(代表取締役社長:高下貞二、以下「積水化学」)と住友化学株式会社(代表取締役社長:岩田圭一、以下「住友化学」)は、このたび、”ごみ”を原料としてポリオレフィンを製造する技術の社会実装に向けて協力関係を構築することに合意しました。これは、”ごみ”をまるごとエタノールに変換する生産技術の開発に成功した積水化学と、ポリオレフィンの製造に関する技術・ノウハウを有する住友化学が協力することにより、”ごみ”をポリオレフィンにケミカルリサイクルするサーキュラーエコノミーの取り組みを推進するものです。

積水化学と住友化学、”ごみ”を原料としてポリオレフィンを製造する技術の社会実装に向け協力関係を構築することで合意 | 日本経済新聞

なお、本プレスリリースは2020年2月に発表されました。

ケミカルリサイクルのメリット

ケミカルリサイクルのメリットとしては、次のようなものがあります。

①資源の有効活用

ケミカルリサイクルを行うことで、原料化学品や製品が再び利用されることで、原材料やエネルギーを節約することができます。これにより、資源の有効活用が図れます。

②環境保全

ケミカルリサイクルを行うことで、廃棄物が減少し、地球温暖化や大気汚染などの環境問題への有効な対策となります。CO2削減の排出にもつながるため、気候変動への対策としても重要な概念となるでしょう。

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ケミカルリサイクルのデメリット

ケミカルリサイクルにも、デメリットがあるとされています。

①コストが高い

1つ目は、ケミカルリサイクルを行うために必要なプロセスや設備が複雑で、コストが高いことです。また、ケミカルリサイクルを行うことで、再生された原料や製品が、オリジナルの品質を保っているかどうかが問題になることがあります。

加えて、ケミカルリサイクルを行う際には、輸送コストが発生する可能性があります。その理由として、ケミカルリサイクルを行うためには、原料や廃棄物を輸送する必要があるためです。原料や廃棄物は、ケミカルリサイクルを行う工場まで輸送する必要があり、こうした輸送作業は、輸送距離や量などによって、輸送コストが異なるため、事前に見積もりを行うことが重要と言えるでしょう。

②適切な処理には高い技術が必要となる

さらに、ケミカルリサイクルを行うことで、毒性のある物質が生成される可能性などがあるため、適切な処理が必要です。こうした問題を解決するためには、より効率的で安全なケミカルリサイクル技術の開発が求められます。

マテリアルリサイクルとの違い

マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルは、廃棄物を再利用するプロセスですが、その概念や手法に違いがあります。

まず初めに「マテリアルリサイクル」とは、廃棄物を加工し、原材料や製品として再利用するプロセスを指します。例えば、プラスチックを廃棄した場合、プラスチック製品の原料として再利用することができます。

一方、ケミカルリサイクルは、廃棄物を化学的に処理し、原料として再利用するプロセスを指します。例えば、廃棄塩化物を原料として、再生アルカリを作ることができます。

マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの違いとして、マテリアルリサイクルは、廃棄物を加工することで再利用するため、廃棄物の状態によっては、再利用できない場合があります。一方、ケミカルリサイクルでは、廃棄物を化学的に処理することで再利用が可能となります。

まとめ

ケミカルリサイクルの重要性を理解できたでしょうか?再利用の取り組みは、SDGsにおける以下の項目の対象となります。

  • SDGs目標12「つくる責任つかう責任」
  • SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」
  • SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」

そのため、今後もさらなる処理技術の発展が望まれるでしょう。

なお前提として、一人ひとりがプラスチックごみを出さない生活を送ることで、環境保護に貢献できます。プラスチックをできるだけ使用しないよう心がけ、再利用可能な代替品を選ぶよう心がけることが重要です。例えば、プラスチック製のストローやカップの代わりに、再利用可能なものを使用したり、自分で作ることができます。また、買い物をするときには、プラスチック製の包装を避けるよう意識することも大切です。

まずはプラスチックごみを出さない生活を心がけることで、私たちは自分たちが実際に環境保全に貢献していきましょう!

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