【SDGs目標14】「海の豊さを守ろう」から考える海洋環境の現状と課題

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地球全体のうち、「海洋」はおよそ何割を占めているかをご存知ですか?答えは約7割、71.1%が海洋と言われています。

私たちは、魚や貝類を食したり、海水浴を楽しんだりと、海と非常に密に関わって生活しています。本記事ではSDGs目標14の対象である「海の豊さを守ろう」を元に、海洋環境の現状や今後の課題について解説していきます。

【目標14】「海の豊かさを守ろう」とは?

SDGs宣言文では以下のような文章で宣言がなされています。

Conserve and sustainably use the oceans, seas and marine resources for sustainable development

出典:United Nations

海洋大国である我が国日本においても、SDGs達成に向けた行動が重要視されています。

まずは、海洋環境の現状や今後の課題に関し紹介をしていきます。

漁業漁業の種類を解説!沖合・遠洋・沿岸・養殖漁業とは?

海洋環境の現状と課題

世界規模で、海洋環境に関する課題は多くあります。

本記事では、
・マイクロプラスチック問題
・水産資源の減少
・サンゴ礁絶滅の可能性
・海洋酸性化
の4つについて紹介します。

マイクロプラスチック問題

マイクロプラスチック

マイクロプラスチックに関する問題は、近頃ニュースや新聞で目にすることが多くなってきました。

まず、マイクロプラスチック問題とは、5mm以下と微小なマイクロプラスチックが引き起こす問題と定義されています。

海に流れ出たプラスチックゴミが、微細なものとなり、生物が誤嚥することで消化不全などを引き起こし、やがて死に至らしめます。

今や、毎日使うと言っても過言ではない「ビニール袋」 や「ペットボトル」も、海洋を漂うマイクロプラスチックの元となっており、今後の対策が必要です。

水産資源の減少

農林水産省世界の資源状況
出典:農林水産省

FAOがまとめている、世界の海洋水産資源の状況によれば、世界の水産資源は漸減傾向にあると言われています。

上記の図からも、生物学的に持続可能なレベルにある資源の割合が、近年にかけて減少していることが見受けられます。

一方、アジアを中心に世界の水産資源への需要は高まっており、どのように水産資源を持続的に利用していくかが今後の大きな課題と言えるでしょう。

なお、日本で行われている水産資源の有効活用のための制度に関し、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

TAC制度水産資源の有効活用のための「TAC制度」とは?わかりやすく解説

サンゴ礁絶滅の可能性

サンゴ礁

サンゴ礁は、生物多様性を育む場として、生態系においても重要な役割をになっています。

気候変動などが影響し、すでにかつての3分の2のサンゴ礁が失われているとの報告もあります。

主な要因は、地球温暖化によるサンゴの白化でしょう。

サンゴの白化現象とは、造礁サンゴが共生藻を失って、透明なサンゴ組織を通して白い骨格が透けて見え、白くなる現象です。白化したすぐ後はサンゴは生きていますが、白化した状態が長く続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができなくなり、死んでしまいます。白化を起こすのはサンゴに限らず、共生藻をもつイソギンチャクなど他の動物でも観察されることがあります。

日本サンゴ礁学会

日本においては、モニタリングや保全活動がすでに行われています。特にサンゴ礁が有名な沖縄県では、サンゴ礁にとって打撃となる赤土の流出量の定点観測など様々な施策が行われています。

海洋の酸性化

海洋の酸性化とは、空中の二酸化炭素の濃度が高まることによって、水中へと二酸化炭素が溶け込み、海水がこれまで以上に「酸性」を示す減少のことをいいます。

海水が酸性になることにより、炭酸カルシウム質の殻をもつ貝類や、石灰化生物であるサンゴが打撃を受ける可能性があります。

二酸化炭素排出を削減することが必要であり、自動車の使用や電力の使用を見直してみることが対策に繋がるでしょう。

環境問題の一つである赤潮【赤潮とは】発生のメカニズムや生態系への影響を解説・関係性の深い「アオコ」現象も紹介

目標14「海の豊かさを守ろう」10個のターゲット

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」には、10個のターゲットが定められています。

以下の表にてまとめましたので、確認してみてください。

14.12025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.22020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し対処する。
14.4水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.52020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する**。
**現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。
14.72030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

「海の豊かさを守ろう」私たちができること

SDGs目標14への呼びかけは、様々な場面で訴えられています。

上記の動画は、国立大学法人東京海洋大学の名誉博士・客員准教授を務めるさかなクンのコメントです。

世界規模の課題に、私たちはどのようなことができるのでしょうか?

以下2つを紹介します。

①エコラベルを選ぼう!

「エコラベル」とは、環境保全に役立つ商品に対し、客観的な基準に基づいて表示されるラベルのことを差します。水産物においては、”海のエコラベル”と呼ばれる「MSC」があります。

MSCは、Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)の厳格な規格に適合した漁業で獲られた、持続可能な水産物にのみ認められるラベルです。

https://www.youtube.com/watch?v=uExG3AhSXYM

MSCのラベルがある商品を選ぶことが、すなわち世界の水産物を守ることに繋がるということになります。

ぜひ、買い物の際にチェックしてみてください。

②プラスチックゴミを減らす工夫を!

これまでに紹介した通り、海洋の汚染の中でも課題とされているのが「マイクロプラスチック」でした。

マイクロプラスチックは、普段使用しているビニール袋やペッドボトルといったプラスチック製品が元になることもあります。

企業としても、プラスチックゴミの削減に向けた取り組みがなされていますが、個人としてもプラスチックゴミを減らすことができるよう、工夫してみてください。

陸上養殖とは?種類・メリットとデメリットをわかりやすく解説

まとめ

SDGs目標14まとめ

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」は、海洋大国の日本で生活する私たちにとってもかなり身近な内容ではないでしょうか?世界規模ではすでに対策を講じなければいけない打撃が生じています。

まずできることは何かを考え、今後の生活に活かしてみてください。

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