牛や豚、羊などの動物の皮を使用しない新しい素材が、ファッション業界で注目を集めています。その名も「ヴィーガンレザー」。
環境に配慮し、動物愛護を重視する消費者の需要に応えるために生まれたこの素材は、持続可能性とエシカルな価値観を組み合わせた革新的な解決策です。
本記事では、ヴィーガンレザーが何であり、なぜ世界中からの注目が高まっているのかを紹介します。
サステナブルファッションとは ?取り組みの背景やブランド5選を紹介ヴィーガンレザーの特徴
ヴィーガンレザーは、動物の皮を使用せずに作られる合成素材です。従来の動物皮製品と同様の外観や感触を持ちながら、動物愛護と環境保護を考慮しています。
フェイクレザーとの違い
ヴィーガンレザーは、植物性や再生可能な素材から製造されることが一般的です。一方、フェイクレザーは通常、プラスチックやポリウレタンなどの合成材料から作られる点に違いがあります。
ヴィーガンレザーは、天然皮革に近い質感や見た目を持つことができる一方、フェイクレザーはその製造プロセスによって質感や見た目が異なることがあります。
ヴィーガンレザーは高品質であり、耐久性がある場合がありますが、フェイクレザーの品質は素材や製造プロセスに依存します。価格の面では、筆者が調査したところ、比較的ヴィーガンレザーの方が高価な傾向にありました。
経年劣化は楽しめる?
結論、ヴィーガンレザーの品質は製造方法や素材の選択によって異なり、経年劣化を楽しむにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
具体的には
・適切に使用する
・素材に合わせた保管をする
・定期的なメンテナンスをする
の3点が重要です。
高品質のヴィーガンレザーは、耐久性があり、時間の経過とともに劣化しにくい傾向があります。
ヴィーガンレザーの種類
ヴィーガンレザーは、あらゆる素材を元に作られています。日々製品の改善が行われている中ですが、筆者がよく目にする4つを具体例として紹介いたします。
①アップルレザー
アップルレザーは、リンゴの果皮を利用して作られるヴィーガンレザーです。
通常、リンゴの皮は果物の加工過程で廃棄物として処理されることが多いのですが、アップルレザーはその廃棄物をリサイクルし、新しい素材として再利用することで作られます。
筆者としては、アップルレザーが最も多様な商品が販売されているように感じました。
②サボテンレザー
サボテンレザーは、サボテンの植物由来の素材を使用して作られる環境負荷が小さなヴィーガンレザーです。
通常、サボテンは砂漠地帯で栽培され、水の少ない環境でも育ちます。そのため、サボテンの栽培は水を節約し、土地を保護する持続可能な農業の一形態として注目されています。
一方、日本での栽培は難しいため、基本的には海外で製造されたものが流通しています。
砂漠化とはどのような現象?原因・具体的な取り組みを解説③きのこレザー
きのこレザーとは、きのこの菌糸体を材料としたヴィーガンレザーのことを指します。きのこレザーの特徴としては、接着剤にきのこ由来の素材が使われている点です。
通常、アップルレザー等も同様に接着剤用に樹脂が利用されますが、きのこレザーは接着剤もきのこ由来の素材で、環境負荷が小さい製品といえます。
④パイナップルレザー
パイナップルレザーは、パイナップルの葉から得られる繊維を使用して作られるヴィーガンレザーの1種です。
「シャネル」や「ナイキ」などの大手ブランドも、パイナップルレザーを使用した商品開発を実施しており、世界的に注目されています。
・シャネル
「シャネル(CHANEL)」は、パイナップルの葉の繊維から作られるレザーに似た天然素材「ピニャテックス(Pinatex)」製の帽子を発売した。2019年プレ・フォール・コレクションで発表されたもので、価格は2300ドル(約24万円)。
https://www.wwdjapan.com/articles/913711
・ナイキ
ヴィーガンレザーのメリットデメリット
ヴィーガンレザーのメリットデメリットをそれぞれ紹介いたします。
メリット
1.動物愛護の観点で優れている
ヴィーガンレザーは動物を傷つけずに製造されるため、動物愛護主義者や倫理的な消費者に好まれます。
2.環境にやさしい
伝統的な皮革産業に比べて、ヴィーガンレザーの製造は水やエネルギーの消費量が少なく、環境への負荷が低いとされています。
3.多様性
ヴィーガンレザーは様々なデザインや色、質感で提供され、従来の皮革と同様の見た目や感触を実現します。
デメリット
1.耐久性・品質の差
一部のヴィーガンレザー製品は、天然皮革と比較して耐久性が劣る場合があります。
ヴィーガンレザーの品質はブランドや製造プロセスによって異なります。一部の製品は質感や見た目が天然皮革と異なることがあります。
2.生産プロセスの改善の余地:
ヴィーガンレザーには、まだまだ論点も多いとされています。筆者が調査をしている中で、ソーシャルニュースサイトの「ハフポスト」では、以下のような記事が掲載されていました。
ただのプラスチックを「ヴィーガンレザー」とブランディングし直している企業の中でも、製品工程は様々だ。新品のプラスチックを使用しているところもあれば、再生プラスチックを使っているところもあり、その区別をラベルから見分けるのは容易ではない。
ハフポスト
気候変動活動家でヴィーガンのベニーシャ・ラ・マナ氏は、一部のヴィーガンレザーのマーケティングを疑問視している。「この服が地球に害を与えていれば、結局は動物にも影響を与えます。それのどこがヴィーガンなんでしょうか?」
一部の製造プロセスは、環境に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
ヴィーガンレザーの製造には、まだ改善の余地があると言えるでしょう。加えて、製造工程の透明化・環境配慮がより重要となってくるのではないでしょうか。
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ヴィーガンレザーは、動物の皮を使用せずに製造される合成素材であり、環境に配慮し、動物愛護を重視する消費者にとって魅力的な選択肢です。
そのメリットとしては、動物愛護や環境保護への配慮、多様なデザインや低価格などが挙げられます。
一方で、耐久性の差や製品の品質のばらつき、製造プロセスの改善の余地、素材の限界などのデメリットも存在します。
ヴィーガンレザーの利用にはこれらのメリットとデメリットを理解し、個々のニーズや価値観に合った選択をすることが重要です。
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