日本は豊かな海に囲まれた水産大国の1つですが、漁業の現場を見る機会はあまりないですよね。本記事では、日本国内で主に行われている、
- 沖合漁業
- 遠洋漁業
- 沿岸漁業
- 養殖漁業
の4つを取り上げ、各漁業の特徴などを解説しています。
日本の水産業に興味のある方や、国内の一次産業に関し、理解を深めたい方に最適な記事となっています。
ぜひ最後までご覧ください!
日本ではどのように漁業が行われているの?
日本の漁港に置いて、日本一の漁港はどこだかご存知ですか?
水揚げ量や水揚げ金額など、味方によって若干異なりますが、これまでのランキングをみてみると①静岡県「焼津」と②千葉県「銚子」が、トップを争ってきていることがわかります。
日本は島国であり、豊かな海洋環境に囲まれ、各地域ごと特色のある漁業が行われています。
日本では、各漁港ごとに主となる魚種があったり、盛んな漁法があったりと、多様な水産業の現場をみることができます。
本記事では国内の漁業について、一般的な4つ分類方法にてそれぞれ紹介していきます。
①沖合漁業
内容 | 日本の沿岸部から200海里内で操業する漁業 |
対象魚 | アジ、サバ、イワシ、サンマ、エビ、カニなど |
日本の沿岸部から200海里内で操業する漁業を沖合漁業といいます。
* 1海里=1852メートル
沖合漁業の操業期間は、日帰りから1ヶ月ほどになるのが一般的と言われています。
日本の漁業の中で、もっとも漁獲が多いのがこの沖合漁業であり、食卓によく登るアジ、サバ、イワシ、サンマなどの大衆魚やエビ、カニでなどの魚種が対象となります。
時期や対象となる魚種に合わせてさまざまな漁法が用いられますが、代表的な例としては、沖合底曳き網漁や大中型まき網漁があげられます。
②遠洋漁業
内容 | 遠洋にて、時に1年ほど海に出て行われる大規模な漁業 |
対象魚 | マグロ、カツオ、イカ、タラなど |
沿岸部から大きく離れた遠洋にて行われる漁業が、遠洋漁業です。代表的な例としては、皆さん大好きなマグロ延縄漁があげられます。
漁に一度出ると、半年から一年規模の漁になることも多く、大型漁船に多くの乗組員が乗船し、大規模な漁業が行われる方式です。
遠洋カツオ一本釣り漁や遠洋イカ釣り漁も、マグロ延縄漁と同様に遠洋漁業に含まれます。
また、トロール漁も遠洋漁業に含まれます。トロール量はネットのような漁具を用いて、魚群を丸ごと捉えてしまう漁です。
トロール漁は海洋大国であるノルウェーなど、北欧の国々でも行われている漁法であり、漁獲量が非常に多い点が特徴と言えます。
③沿岸漁業
内容 | 沿岸部にて、古くから行われてきた日本でもっともポピュラーな漁業 |
対象魚 | アジ、サバ、タコ、イカ、エビそして海藻など多岐に及ぶ |
沿岸漁業は、沿岸部で古くから行われてきた日本でもっともポピュラーな漁業です。
基本的には小型の船舶を利用し、沿岸部で行う漁業ですが、さまざまな漁法があり、また対象となる魚種もアジ、サバ、タコ、イカ、エビそして海藻など多岐に及びます。
日本においてはおよそ8割の漁業が沿岸漁業であると言われており、古くから重要な役割をになってきました。
しかし、沿岸漁業は減少傾向にあります。
日本全体の漁業不振の影響を受けているのはもちろんですが、海洋汚染や埋め立て、赤潮などの影響を直接的に受けやすい点にも要因があります。
関連記事:【赤潮とは】海が真っ赤になる自然現象?発生のメカニズムや生態系への影響を解説
④養殖漁業
内容 | 対象の魚が出荷サイズになるまでを水槽やいけすで育てた後、製品として販売する漁業 |
対象魚 | マダイ、ハタ、クエ、ブリ、ハマチ、サーモンなど |
養殖漁業は、対象の魚が出荷サイズになるまでを水槽やいけすで育てた後、製品として販売する漁業です。
よく似ているものとして、栽培漁業がありますが、これは卵から稚魚になるまでの期間を人の手によって育てた後、生育に適した海に放流し、自然の海で成長したものを漁獲する漁業を差ます。
日本で養殖が行われている代表的な魚種としては、マダイ、ハタ、クエ、ブリ、ハマチなどがあげられます。
また、淡水魚という観点では、サーモンの養殖が国内でも盛んになってきており、「〇〇サーモン」というブランド化したサーモンを目にすることも多くなってきました。
世界的にタンパク質不足が問題視される上で、養殖漁業には注目が集まっており、養殖漁業は国内外のベンチャー企業が革新的な生産システムに取り組むなど、比較的新しい動きが多い漁業です。
例えば、「持続可能な水産養殖を地球に実装する」をビジョンに掲げるウミトロン株式会社では、スマート給餌機によって遠隔で養殖魚への餌やりをするといったサービスを展開しています。
また、京都府のリージョナルフィッシュ株式会社では、ゲノム編集技術等を活用した新品種の開発、また種苗の生産・販売が行われています。
このように、革新的な動きも多く、今後もよりアップデートした形で養殖漁業が行われていくことが期待されます。
陸上養殖とは?種類・メリットとデメリットをわかりやすく解説4つの漁業の現状と推移
上の図は、水産庁より公開されている「水産白書」より引用した、4つの漁業の推移がわかる資料です。
第1次オイルショックによって高度経済成長期は終焉を迎え、昭和54(1979)年の第2次オイルショックの頃を境として漁業の拡大を支えた魚価の急激な上昇は止まりました
平成27年度 水産白書
また、4つに分類された漁業に関して見てみると、沖合漁業の割合が小さくなっていることが見て取れるでしょう。
また、遠洋漁業もピークに比べると少なくなっていることがわかりますね。
図を見てみると、1900年代後半のピークを最後に、全体として水揚げ量は低下していることが見て取れます。
日本国内においては、オイルショックによる操業経費の高騰をきっかけに、水産資源を有効に活用していくことが重要視されるようになりました。
法整備なども進み、平成8(1996)年には、「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」に基づき、漁獲可能量(TAC)制度が導入され、これは現在も適用されています。なおTAC制度に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください
水産資源の有効活用のための「TAC制度」とは?わかりやすく解説漁業経営における後継者不足は、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
今後も水産業は衰退が進むと言われるケースも多く、豊かな水産資源を十分に活用するためには、船舶技術の向上はもちろん、養殖漁業の技術発展などもますます必要となっていくことが考えられます。
漁業協同組合を理解するのにおすすめの書籍
漁業協同組合を理解するのにおすすめの書籍を5つ紹介します。
タイトル | 著者 | |
1 | 図解入門業界研究 最新漁業の動向とカラクリがよ~くわかる本 | 勝川俊雄 |
2 | 協同組合と農業経済:共生システムの経済理論 | 鈴木 宣弘 |
3 | 日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書) | 佐野 雅昭 |
4 | 最新版 図解 知識ゼロからの現代漁業入門 | 濱田 武士 |
5 | ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡 | 坪内知佳 |
まとめ
これまでに、国内の主な漁業の特徴と、その現状や推移を紹介してきました。
・主に①遠洋漁業②沖合漁業③沿岸漁業④養殖漁業の4つがある
・漁業全体として、オイルショックを機に減少傾向にある
・TAC制度によって、漁獲の管理が行われている
これらのポイントを抑えていただければ、国内の漁業の基本的な部分を理解していただけたと思います。今後の漁業の動向にも注目しながら、持続的に美味しい魚介類を頂いていきたいものですね!
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